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にゃんにゃん=トラウマ(番外編)


地域のローカルアイドルなるものが蔓延る世の中、今もテレビの中には猫耳を付けた女の子たちが踊っていた。



「猫耳ってどう思う?」
「別に何とも思わないです。大体作り物とは言え耳が四つもある事になる。商売用に媚びるための手段でしかないと認識しています」
「ジェノスお前ほんとロマンの欠片もないな…」
「じゃあナマエが猫耳付けてたらどうすんだ?」
「それは世界文化遺産レベルの価値があります猫耳を付けた上で赤い首輪を付けそして恥ずかしそうにしている兄さんなんてそんな歩く度に首輪についている鈴が鳴るのもまた」
「うん、待って」



何言ってんのこいつ。
何言ってんのこいつ。

トイレから戻ってきたサイタマ氏の余計な一言のせいで変なスイッチが入った我が弟にどうすればいいのかわからない。凄い早さでネットで猫耳を検索してる。もしかしなくても買うつもりか買ったら二度と来ないからな。
ということを三時間程説得し、ようやく猫耳購入を諦めたジェノス。サイタマ氏絶対に許さないからな。

猫耳なんてただでさえ可愛い子以外付けてたら半笑いにしかならないデンジャーアイテムなのに、俺、男ね!しかもイケメンでもなんでもない感じの!イケメン未満が俺フツメンだから〜なんてふざけた事を言うせいで、最近フツメンと言い張るのも厳しくなって来たからな。世知辛い。

世の中を憂いつつ正直猫耳の話なんて忘れかけていた一週間後に事件は起こった。



「なんぞこれ」
「生えました」



ジェノスの意外と手触りがいい金髪からひょっこり覗くものを見て顔が引き攣る。おい寝癖付いてんぞって言えない俺まじ空気読める子。そろそろ誰か俺を労わってくれてもいいと思うんだ。

なんでジェノスくん猫化してんの?



「恐らく昨日取り逃がした怪人のせいかと…」
「なんでお前そんな冷静なの?というか機械なのにそれでいいの?」
「ちなみに尻尾もあります」
「別にその情報はいらなかったかな」



艶のいい黒い毛並みの耳と尻尾がピヨピヨ動くその現実に俺は目眩がした。黒い尻尾を眺めながら「お前今日からジェノスのジをとってジジってあだ名な」と、どこぞの宅急便を彷彿とさせる事を言ったら、「兄さんが良いならどうぞ」と返ってきた。突っ込み待ちなのに。



「とりあえず明日になってもこのままだったら博士に相談します」
「そうしろそうしろ。ついでに頭も検査してもらってこい」



とはいえ俺も男だ。
目の前に撫で心地の良さそうな頭があってどうして撫でずにいられようか!
わーしゃわしゃわしゃとムツゴロウさんのように愛でると、気持ちいいのか目を細めて喉を鳴らすジェノス。うわー、本格的に猫なんだ。
ただこうしていると普段の病んでるジェノスより100倍可愛く見える不思議。



「兄さん」
「ん?」
「首を舐めてもいいですか?」
「…は?ってギャアアア!」



返事する前にのそりと首に顔をうずめてきたジェノスに悲鳴を上げる俺。何がどうしてこうなった。さっきまでほのぼのとした時間だったよな俺タイムスリップでもしたの!?



「いっでええええお前齧ってんじゃん!いっでええええ」
「兄さん、いい匂いがする」
「サカってんじゃねーよ!ちょっなんでお前そんな力強いのびくともしねえ!サイタマ氏助けて!!!」
「兄さん、にいさん、」



そもそも一般人の俺がS級ヒーローであるジェノスに勝てるわけ無かった。あれよあれよと押し倒されて組み敷かれた現状に冷や汗が止まらないジェノス落ち着いて、な?お兄ちゃんと話し合おうか。
猫化したせいか欲望に忠実になったジェノス怖い実力行使反対!お前ホモなの!?イケメンなのにホモなの!?耳元でお前の乱れた吐息が響くのほんとやめてください僕こっちの世界は知らずに死にたいんです。






数分後、買い物から帰ってきたサイタマ氏のお陰で俺の貞操は守られたのであった。第一声が「うわっ何そのプレイ」だったのは一生根に持ってやる。

ジェノスに猫化治るまで会わんと告げて帰ったところ、翌日には治ったとの報告が。とりあえずお兄ちゃんトラウマ増えたから謝罪と賠償を以下略。