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デレるなら意識のある時にどうぞ

青い空に輝く太陽。本格的な夏となった今、海やらキャンプやら花火やらで浮かれている周りを尻目に私は紫外線を疎ましげに見つめた。太陽ちょっと頑張りすぎじゃないか。頑張るなら浮かれまくっているそこらへんのアホ共を重点的に照らしてやって下さい。
私?私は結構です。



自他共に認める引きこもりである私が外出するのは、働いている場所へ行く時か必要最低限の買い物をしている時ぐらいしかない。もう、家ラブ。
そんな冗談みたいだが本気な日常生活に一種の誇りみたいなもんを持っていた私の人生に訪れてしまった転機。転機と書いて悪夢と読む。
それはいつものように最低限の食料を買い込んでいたあの日、いきなり真選組の隊服を身にまとった人から手錠をかけられた事から始まった。理由は顔がとある攘夷志士に似ていたからだそうだが、実際にその攘夷志士の指名手配書を見せてもらった時に思わずその真選組の人をぶん殴ってしまったのは仕方がない事だ。その手配書の攘夷志士の顔は、例えるならアナゴさんとゴジラを足して2で割ったような何とも言えない顔をしていた。少なくとも人間の顔じゃないだろこれ。確かに私は美人でも何でもないが、一目見て人間と言い切れるレベルではあるハズだ。…多分。話が逸れた。本当の問題はそこじゃなくて、その後に真選組の人に妙にまとわりつかれるようになったという事。どうやら私という存在がツボにはまったらしい。死んでくれ。特に私を真選組まで連行した男、沖田さんはいきなり家に来てご飯を要求するまでになってしまった。苦しんで死んでくれ。



「この女の命惜しくば今すぐ武器を捨てよ!」



そしてこの状況である。首に当てられた刃物よりも紫外線が痛い。畜生、興味本位で私を見ている野次馬め。特にアベック爆発しろ!アベックなんて言ってる時点で私の人間としてのレベルはたいそう低い事がわかる。
そしてこの頭の悪そうな顔をしている攘夷志士さん達は私を真選組が入れ込んでる女と勘違いしてるらしいよ。顔を裏切らない頭の悪さだな。見てみろあいつらの顔。近藤さん以外全員私程度なら捨て置いてもよくね?みたいな顔してやがるぜ!
ほんと全員痔になればいい。



「名前ちゃん大丈夫かー!?」
「なに捕まってやがんだ名前の奴。ヒロイン気取りか、諦めろ。お前にヒロインは荷が重い」
「名前の希望通り、引きこもらせてやりまさァ。あの世にな」
「ほらな!とりあえず後半の二人死ね!誰のせいでこうなったと思ってるんですか謝ってくださいよ!」
「「ごめんぷー」」



真顔でそう抜かしやがった二人には殺意しかわかない。私が生きてこの場を切り抜けた暁にはお前ら全員呪ってやるからな。切れ痔といぼ痔はランダムにしてやる皆苦しめ。



「名前ー三秒以内に目ぇ閉じろー。はいさーんにーいーちどかーん」
「ちょっと待てお前何するつもぎゃああああ」



沖田さんの緩い声が聞こえてきて、反射的に目を閉じてしまった私に衝撃が襲った。目を閉じる前に視界に入ってきたのは、バズーカを構えた沖田さんだった。あの野郎、私がいるのに思いっきりバズーカ打ちやがったな…!そしてそのまま私の意識はブラックアウト。死んだら恨んでやる。









「当てるわけねーだろ馬鹿女。とりあえず今すぐそいつ離しやがれ」
「総悟、瞳孔開いてんぞ」
「そういうトシもいつもより開いてるぞ。まったく、まだまだ若いな!」



目が覚めた私にガハハと事の次第を楽しそうに教えた近藤さん。結局その攘夷志士は沖田さん達によって捕まえられたらしい。酷い有り様だったみたいだが。
どうやら私は思ったより好かれてるようだ。帰りの道中、いつものように飯をたかる気でついて来ているのであろう沖田さんに、デレるなら私の意識がある時にお願いしますねと嫌みをたっぷり込めて言ったら本気で殴られた。おいこれ好かれてるとか嘘だろ。もう誰も信じない。