×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

日記の切れ端より


こんにちは、俺です。八歳です。
平成の俺は名字名前。今の俺はナマエ。片仮名になっただけとか手抜きすぎる。
そう、俺は元々平成の世でナハハと毎日平和に生きていた。今は怪人相手に逃げ惑う毎日ですがね。自分でも気が狂っとるとしか思えんが、こっちに生まれて六歳くらいの時に脳内スパーキング。あうち。

高校を卒業して大学に進学して適度にお酒をたしなみ就活鬱だわなんて笑っていた自分。別に多くはない気のあう友人と愚痴を交わし、単位を落としたと絶望し、それでも平和に暮らしていた。
六歳児の頭に成人越えの記憶を叩き込むとか鬼畜過ぎるこれ下手したら廃人コース!
俺はその瞬間に二つの絶望を抱えることになった。
一つは言わずもがな。もう一つは弟の存在だ。
なんで弟は将来的にほぼ百パーセントイケメンが約束されているビューティフルフェイスなんですかねえ!!

俺の顔はどんなによく見積もっても十人並み。というかこれ平成の時の小さい俺じゃん。つまり完成形がもうわかってるじゃん。親バカな両親は俺と弟を分け隔てなくかわいがってくれているが、辛いです。

六歳で気が狂ってから今に至るまで、順風満帆に暮らした訳でもなく、今の父さんと母さんに頼み込んで祈祷にまじない、その他諸々なんでもやった。勿論効き目なんてなく、もしかしたら平成での記憶なんて嘘だったんじゃないかとまで思った。そんなこんなで出来上がったのがただの人間不信。そしてそのまま引きこもりの二年間に突入。暗黒期である。そりゃあ両親には心配かけましたとも。遊びたい盛りの息子が、自室に引きこもって本を読んでいる姿なんて、俺が親だったら絶対に見たくない。見たら泣く。平成時代でもこんなに知識を蓄えておくなんてしなかった。でも流石に何年も引きこもっていると、そろそろ順応しなきゃならんのかなあとか思うわけですよ。流石に。


そんなこんなで今の俺。
開き直ってしまえばビューティフルフェイスの弟はかわいいし、美男美女カップルの両親にかわいがられる生活も悪いものじゃない。俺だけフツメン未満とか悲しすぎるけど。拾われっ子?って聞いてきた隣のババアは許さん。

何故か怪人の遭遇率が半端じゃないことになっていますが、生きているからまあ大丈夫でしょう。オートで怪人ホイホイ能力とか考えたくもない首つるわ。

色々な書きましたが、つまり俺は平成の自分を捨てることにします。名字名前じゃなく、ナマエとして生きていく。よって二年間書き続けた日記も今日で終わり。悪く思わないでくれ、帰れないから仕方ないんだ。
どうか健康には気をつけて、幸せに。
さようなら。




───廃墟にて発掘されたノートの切れ端より、抜粋