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人生ペケばっか


私にはとんでもない同級生がいる。ただでさえどうしようもない奴なのに、それが六つ子だって言うんだから目立つ。どうしようもない×6。むしろ六乗かもしれない。
長男は脳内小学生のまま、次男は中二病、三男はドルオタ、四男は大二病、五男は狂人、六男はまっくろくろすけ。そんな奴らとはさっさと縁を切るべきだと今までたくさんの人に言われてきた。
でも長いこと付き合っているとほんの微かな、それこそ微生物レベルにしかない彼らのいい所も見えているわけで。そんな彼らの存在を周りの賢い人たちのように消すことが出来なかったのが私の敗因。何かこれ典型的なDV受けてる人みたいな思考回路だけど大丈夫?


「いや結局お前もクズの仲間だったって事じゃん?」
「働いているのでセーフ」
「というわけで働いている名前ちゃんにお願い」
「お金は貸しません」


ええ〜倍にして返すからよ〜と手をクイッとひねる成人済み男性をクズと言わずになんと言うのか。六人もいるのに全員がニートってどういう確率なんだ本当に。貸してもらえないとわかると私と無理矢理肩を組んでまで懇願してくるこの男は、例の極悪六つ子の長男である。何でコイツがここにいるのかは簡単で、毎日が日曜日である彼らは事あるごとに私の家にやってきては漫画を読んだりゲームをしたりしている。理由は簡単だけど実際言葉にすると意味不明だけどね。漫画喫茶じゃないんだぞ我が家は。


「俺とお前の仲だろ?な?」
「トト子ちゃん呼ぼうかな」
「ごめんっ!」


私に対しては「俺と結婚して養ってくれ」だの「お前は俺の大事な財布だよ…」なんて言えるくせに、我らがアイドルトト子ちゃんに対しては小学生男子並みの純情っぷりな恋をしている六つ子。この弱点を使わないわけがない。事あるごとに彼女の名前を出しては暴走を止めさせてもらっていますトト子ちゃん本当にありがとう。CD買うからね…。


「お前のそういうところが昔からクズなんだよ」
「お互い様じゃん?」
「でも昔の方が可愛げあったよな。中学の時なんか」
「ほんとやめようその話は。いくら貸せばいいの」
「やったぜ」


弱点を知られているのもお互い様なのはもう仕方ない。



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「おそ松兄さんまた名字さんの所に行ったの?」
「あいつから借りた金でパチ行くとすげー勝てるんだよこれが」
「何そのジンクス…」


呆れた顔と声でこっちを見てくるチョロ松は無視安定。勝った金で何か酒と食い物でも買って名前の家に戻ろうかなと靴を履いたら何故か後ろにぞろぞろと沢山ついてきた。何も聞かずともこいつらの考えている事はわかっている。何故なら六つ子だから。


「フッ…俺も行くぜ兄貴」
「僕も行くよ。兄さん達が行ったら絶対に迷惑しかかけないだろうし」
「僕も寿司食べたいけど?」
「野球!?野球しよ!」
「おそ松兄さんばっかイイ思いはさせないからね〜」


本当に客観的に見て最悪の兄弟だなこいつらは。タカリ根性が身にしみてしまっている。全く誰に似たんだか。俺ではないことは確かだと思う。
優しい兄である俺は仕方なく可愛い弟達のお願い通りに寿司と酒を頼む。名前の家に六人で騒ぐのは物理的に厳しいので電話で呼び出した。我が家でDVDでも見ながらワイワイしたら楽しいじゃん?とみんなでワクワクしていたのに、眠いからいいやって電話を切られたのはもう本当に控えめに言ってあのクソアマって感じじゃね?俺らの空気見てみろよ完全に凍ってんじゃんどうしてくれんの。


「一松兄さんどこ行くの?」
「…別に」
「迎え!?迎えにいくの!?俺も!」


下三人がわちゃわちゃと外に向かうのを見て、上三人も急いで靴を履く。呼んでも来ないなら迎えに行けばいい、名案すぎる。