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俺氏、ハンターの世界に行くの巻その3


俺の能力について説明したい。読み飛ばし推奨。

もうわかっている人はわかっていると思うが、この世界はマジで洒落にならない。冗談抜きで瞬きしていたら首が飛んでたよ〜ってことが日常茶飯事な世界なわけで、限りなく一般人に近い俺が何を出来るというのか。しかも生まれがゾルディック家というハードモード付き。完全に狙われますやん。賞金稼ぎ奴〜〜からすれば俺なんて鴨がネギ背負って落とし穴にかかって寝てるレベルのチョロさだからね?その他にも身内を殺された人の復讐やら元従業員の恨みやら、死ぬ理由には事欠かないのである。
だが俺には幸か不幸か念というこの世界の特有の特殊能力の才能があったらしい。なんのオマケだよ。じいちゃんのスパルタ指導によって基礎は全部覚えた俺が、さあ何の能力を作るかという段階になった時、頭に浮かんだのはたった一つだった。

逃げる能力。

戦って勝つなんてありえない。とにかく逃げることに特化した能力が欲しい。そして“逃げる”ということを一番最初に頭に浮かべて出てきたものが結果的に今の念能力に繋がっている。
死にたくない俺の頭に浮かんだのは某ぽけもnの技、テレポートだった。そんな俺が出来ることを簡単にまとめると、以前行ったことのある場所や知り合いのいる所にワープすること。以上。
文字にすると大したことない感じの能力である。でも俺はこの力を駆使して俺は生き残ってみせる。本当はみがわりも欲しかったなんて思ってないんだからねッ!


「反動がキツいから使いたくないんだけどなあ」
「ん?ナマエ、何か言った?」
「いや何も」


俺さあ…今スケボーの上にいるんだ…。そしてキルアの腰とスケボーは連結している。後は皆まで言わなくてもわかるな?そう、キルアくんの有言実行である。
今は平地をただひたすら走っているだけだからいいが、問題はここからだ。俺の蜘蛛の巣が張っているであろう脳みその記憶が正しければ、これから階段にシフトチェンジするハズ。そうなれば万事休す、念を使うかリタイアかのどちらかが求められてしまう。当然リタイアだ。


「うげっ次は階段かよ」
「オッケーキルアここは俺に任せて先に行け…!」
「はあ?ナマエリタイアする気だろ?」
「ええまあ」


バーカと言いながら俺を背中に抱えるキルアは本当に化け物かもしれない。というかこれ失格にならないんですか試験管さん。是非失格にしてください。キルアくんが階段を登るたびに内蔵が痛いんです。俺すぐ吐血しますけどそれでいいんですか?
スッと横を見るとイルミが変装している針の男が愉快そうに笑っていたので殺意が湧いた。念使いなよって簡単に言ったコイツのことはまだ許してないんだからなチクショウ。

俺の念能力。使った回数と距離によって一時的に若返るリスクあり。0歳になったら無事死亡。

世知辛い。


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ついに恐れていたことが起こってしまった。
キルア氏、俺を放置。そうだ、そうだった。ここまでストーリーを覚えていなかった俺が悪い。当の本人は俺のことなんて視界の片隅にも入れていないレベルに主人公であるゴンくんとの会話を楽しんでいる。いや、あの、兄としては弟が人並みに友人を持つことに反対はしないんだけどさ、俺をここに放置することないよね?ゴンくん一派に俺を紹介するなんておこがましいことは言わないからさ、せめてもうちょっと安全な場所に放置するとか色々出来ることはあったと思うんだ。


「ンン…君…使えるね?コ・レ」


キルア、お前のせいでこの世界で一番関わりたくない人とエンカウントしちゃってるんですけど!?語尾にハートマークやら何やらが付いているであろう甘い口調、バッキバキに鍛えられた肉体、そして指先にはドクロマークに形どられた念。何よりも一度見たら忘れないその容貌。
どう見てもヒソカです本当にありがとうございました!

この際イルミでも誰でもいいから俺を助け出してくれお兄ちゃんの一生のお願い。