カロン

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渦の真ん中で回るため
片足立ちの不安定さと
片目を瞑る不器用さを
無理矢理に併せ持っていた

すぐ足元で
散らかった思い出が泣いている
星の瞬きのような声を遺して
ポニーテイルの後ろ姿が
すう と燃え尽きてゆく



精一杯に音速を目指した

ふらふらと回る
足元のものを蹴散らし
三半規管を麻痺させてまで
丁寧に心を燃やしてみたくて
輝きながら尽きてゆきたくて

誰かの思い出になりたくて
呼吸の傍ら、回り続ける



果たして倒れたなら
ひとり分の祈りを懸命に背負ったまま
どこへゆけるだろう
どこかへゆけるだろうか