かわいい子は嫌いじゃないよ朝食を食べ終え、沖田が食器を片付けにいくのを見届ける。沖田がいったい何を企んでいるのか。検討がつかない訳じゃない。恐らく私の性格がどうこうといったことはさして重要なことではないと判断したのだろう。だから報告もせずに私の反応を楽しんで遊んでいる。まるで玩具みたいだ。どんな反応をするか伺われて、楽しそうなら手をつけられる。彼の新しい玩具。腹立たしいけど、我慢するしかない。そんなことを考えていると、誰かが部屋に近づいてくる。「雪村、斎藤だ。副長があんたを呼んでいる。」障子越しに斎藤が声をかける。やはりその声からは、感情が読み取れない。短刀を懐に忍ばせ、部屋を出る。「行くぞ」私が返事を返す間もなく、すたすたと歩いていく斎藤の背を追う。この男も、本当に顔が整っている。つくづく新選組はイケメンが多いなと思う。斎藤は沖田や藤堂とはまた違った種類のイケメンだ。沖田たちをカッコいいと言うなら、斎藤は美しいという言葉がぴったり当てはまる。どの行動をとっても、無駄がなく美しい。そんな絶対的な美しさを持っていると思う。まぁ、その点で言えば土方も斎藤と同じ類いの美しさだとは思うが。「斎藤です。雪村を連れて来ました。」「ああ、入れ。」( 34 / 41 )[ *prev|next# ] ←back -しおりを挟む-