カラン、と氷の解けた音が部屋に響き、スッと男の目線が下に落ちる。小さく「そうか…」とつぶやいた彼に、私はそっと席を立った。

「わかって頂けたならお帰「じゃあツナのファミリー(仮)な」
「人のはなし聞いてた???」

こっちは真面目に話していたというのに、ゴクゴクと麦茶を飲み始めた男に対し、私は隠しもせず顔をしかめた。「おかわり!」じゃないから。自由か君は。

「私言いましたよね?『お断りします』って、はっきり言いましたよね?」
「ああ、言ったな。だから(仮)なんじゃねーか」
「まったく意味がわかりません」
「こりゃ新学期から楽しみだな」
「こっちは今から気分ガタ落ちなんですけど?」
「ツナ達にはオレから言っておくぞ」
「何勝手なことしようとしてるんですか。 やめて、マジやめて」
「そう心配すんな。ニーナにはバレねーよう、ちゃんと根回しすっから」
「問題はそこじゃありません」

え、何この子。全然話聞いてくれないんだけど!
こりもせず「おかわり」っと再び麦茶を催促してきた彼に「あげません。帰ってください」と言い放てば、「じゃあ正式にファミリーになるか?」なんて言い返されたので渋々2杯目のお茶をそそぐ。うわっ、私これ絶対遊ばれてる。

「だいだいおめー、オレがこの家に来た時から こうなるってことぐらい予想してたんだろ?今更駄々こねてんじゃねぇ」
「私が我儘言ってるみたいに言わないでください。わかっていたとしてもそれを受け入れるかどうかは別問題です」
「難儀な奴だな」
「……そっちこそ立ちが悪いですよ」

吐き捨てるようにそう言えば、彼はフッと鼻で笑った。

「おかわりっ」
「さっさと帰れ」


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