彼の喜びが、彼のまぶしさが、彼の柔らかさが、彼そのものが、わたしのなかにじんわりと染みこんできた。それはとてもうれしいことである同時に、とてもとても怖いことでもあった。自分以外の人間を深く知ることは思いのほか恐ろしく、しんどいことだった。わたしは青ざめ、震えた。そして静かに泣いた。なぜなら、自分は彼と全く釣り合っていないのだと気がついてしまったから。なぜなら、自分のことに対してとても弱気になってしまったから。だからわたしは目をとじて片っ端から拒絶した。心がいっぱいいっぱいになってしまったから、どうか一人にしてほしかった。わたしを置いてきぼりにしてほしかった。でも、それでも瞼のうらに焼き付いていたのはまぎれもなく彼であった。彼は言った。彼はわたしの涙を拭った。彼はわたしに手を差し出した。彼は笑った。わたしがよく知っている笑顔で、懐かしいあの声でこう言った。「すきだよ。」わたしは迷わず彼の手をとった。その瞬間、じぶんの意志に関係なく涙があふれてきた。「なきむし。」彼は呆れたように笑い、ぎゅうっと抱きしめてくれた。それから彼はどんなときでもずっとずっとわたしのそばにいてくれた。彼はわたしにとってあたたかな光そのものだった。

ありふれた太陽

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