ブリーチ剤/京流




パソコンに向かって仕事中。
京さんの夕食を作ってラップかけて置いて。
1人で待ってんのって寂しいから、仕事してる方が気が紛れて楽だし。

眼鏡掛けて画面と睨めっこ。
色々決めなきゃなんねぇし。


そう思いながらカタカタとパソコンを操作してっと、玄関から鍵の開く音が聞こえて来た。

京さんが帰って来た!

途中のモン全て放棄して、立ち上がって玄関へと向かう。
そこには全身黒で統一された、京さんが靴を脱いでる最中で。


「おかえりなさい」
「…ん」
「ご飯食べますか?すぐに温めます」
「…風呂は」
「沸かせてあります」
「なら風呂」
「あ、はい」


京さんの上着を受け取って、話し掛けながら後ろを付いて行く。
ガサガサとビニール袋を持ってったから、何か買って来たのかと不思議に思ったり。


「るきー」
「はいー?」


クローゼットん中に京さんの上着を掛けてると、リビングから京さんの呼ぶ声が聞こえた。
何だろ。
まぁ呼ばれたのは嬉しいからすぐリビングに向かうと、京さんはテーブルに袋から出したモン並べてた。


「…ブリーチ剤?どしたんすか、これ」
「今日ブリーチしたなってん」
「そうなんですか?」
「うん。やから、るきやれ」
「え?」
「るきがブリーチ剤付けて」
「え、ぇ、いいんですか!」
「アカンなら何で言うん。自分でやるんめんどいし」
「やります!」


京さん今より髪の毛明るくすんのか。
ってか、その役目俺が出来るとか…めちゃくちゃ嬉しいし。

京さんから仕事を貰って嬉々としてブリーチ剤の箱を開ける。


京さんは、俺に用件を伝えるとさっさと風呂に向かってった。
風呂入りながらすんのかな。
今も別に、暗い髪色ってワケじゃねぇけど…まぁ京さん気紛れだしな。

箱から出して、説明書と付属品を確かめる。
まぁ自分もよくやるし、取り敢えず丁寧に塗れば大丈夫かな。

そう思って、必要なモンだけ手に取り風呂場へと向かう。


…ってか裸になんなくてもいいか…スウェットの足を捲って、腕捲りもして。


「失礼しまーす」
「ん」


中に入ると京さんは広い湯槽に背中をこっちに向けて寛いでる状態。

今更になって。
京さんの髪の毛染めるとか、や、ブリーチだけど。
緊張するし。
失敗したらどうしようとか。


「京さん、始めちゃっていいですか?」
「ん。ちゃんとやれよ。失敗したら怒るで」


…うわ、釘刺された。


「…頑張ります」


ビニールの手袋をして、チューブを絞って液体を出す。
独特の匂いが浴室に充満して、眉をしかめた。


「やりますよー」
「はいはい」
「金髪の京さんに変わる瞬間見れるんですねー楽しみです」
「は。何アホな事言うとん」
「いや!何か俺が京さんの髪の毛染めるとか!何か何か…ッ」
「ちょぉ煩い。黙って」
「何か嬉しいんですけど!!」
「黙れ言うとんわからんの」


何か溜め息混じりに言われたけど気にしねぇー。
何か京さんの髪の毛撫でる様に液体を付けていき、後ろに撫で付ける。

つーか、液体を均等に付けていくとか難しい…京さんの髪の毛だし、失敗出来ねぇ…!


「あ」
「……なん」
「京さん格好良い…!」
「はぁ?」
「今の髪型が」
「何言うとん。アホか」


眉間に皺を刻んで振り向く京さんの髪型は、全部ブリーチ剤が塗り終わって。
後ろに撫で付けてオールバックにした髪型とか新鮮で格好良いんですけど!
額!
京さんの額!

いつもあんま見ねぇ感じだから超格好良い。


「もう塗れたん?ほならもうえぇで」
「やです!」
「何でやねん」
「最後まで流しますから」
「嫌。僕ゆっくり入りたいから」
「…静かにしときます」
「や、おるだけで邪魔なんやけど」


……。
そんなに嫌がんなくてもいいじゃん!!

つーか、そんな追い出されると、余計に出て行きたくねぇ。


「…ブリーチするまで暇ですよね?相手さして下さい」
「や、だからゆっくり風呂入る言うとるやん」
「…暇ですよね?」
「しつこい」


呆れて、ウザったそうに視線を寄越す京さんの顔が、最高に格好良い。
その髪の毛は段々色が抜けてってる。
あぁ、何か変化中の京さん見れるとか、イイ。


「…あ」
「え?」
「まだ液体残っとん?」
「…ちょっとなら残ってます」
「ふーん。なら脱げ」
「…はい?」
「脱げ言うとんの。早よ」
「え、ぇ…」
「……チッ」
「す、すみません」


いきなり言われた事に戸惑ってると、京さんが舌打ちしたから慌てて着ていたスウェットに手をかける。


「あ、下だけでえぇで」
「は!?」
「そのブリーチ剤取って」
「…京さん…もしかして…」
「うん、暇潰しになってくれるんやろ?シモの毛抜いたるわ」
「えぇえー!?や、嫌ですよ!無理無理無理です!」
「はぁあ?僕がやったる言うとんやから。言う事聞け」
「下の毛ブリーチとか!恥ずかしいんですけど…!」
「何がハズイねん僕しか見んのに。あ?お前僕以外に見せる相手おるんかなら今すぐ出て行けよコラ」
「ち、違います…!」
「ならえぇやん。早よ丸出しになれ」


うぅ…俺に選択肢は無いんですか京さん。

でもやる気満々の京さんは、有無も言わせ無い視線で見て来て。
意を決して下のスウェットと下着を脱いだ。


「は、間抜けな格好やな」
「…京さん…やっぱ…」
「ほな早よ僕の前に立ち。やったるわ。僕がやってやるんやから有り難いと思えよ」
「……はい」


京さんの視線が、下に集中する。
さっきまで京さんの為に使ってたブリーチ剤は京さんの手によって俺の下の毛へと。


…マジでやる気ですか、京さん。


「…おい、勃たすなやボケ」
「…自然現象です」
「気持ち悪いわ」
「京さんの所為です」
「…はァ?」


丁寧に、真剣に下半身(…の毛)を京さんにガン見されたら勃ちますよ何ですか視姦プレイですか!

ってか。
下半身にブリーチ剤とかちょっと…。


「あの…」
「なん」
「皮膚が痛くなって来たんですけど」
「知らんし。…出来た。色抜けるまで液体落とすなよ」
「…はい」


うわー。
ピリピリして皮膚痛ぇ…こんなん下に塗って大丈夫かマジで。

…それよりも。


「…きょーさん」
「……」
「勃って辛いです」
「やから」
「セッ…」
「やらんで。自分でやったら」
「えー」
「だって僕、ブリーチ剤塗っただけやし。勝手に勃たしただけやろ」
「そんな…」
「あ、そろそろ僕の髪の毛流して」


…どんな拷問ですか。


とか思いながら京さんの髪の毛を流す俺。
取り敢えず、終わらなきゃやってくんねぇ気が。

頭に付いた液体をシャワーで洗い流すと、さっきよりも幾分明るくなった髪。

あぁ、京さんは金髪が凄く似合う。


「もうえぇ。後は自分でやるし」
「…はい」


シャンプーしようとしたら、京さんが止めたから大人しく手を引っ込めた。
大人しく言う事聞いたら、してくれるかなって。


「…は、凄いなソレ。シモの毛ぇ金髪とか笑える」
「京さんがやったんじゃん…」
「はいはい。他でチンコ出す機会無いんやからえぇやろエセ外国人」
「出しませんよ。京さんの前だけですから!」
「まぁ僕の前で出されても嫌やけど」
「…京さん酷い」
「何処が」
「でも好きです」
「はッ」


何ですか、その嬉しい言葉。
出すワケ無いじゃないですか。
京さんだけしか見せたくないですよ。


そんな言葉に更に勃起させる俺はどんだけだよって自嘲。


「京さん…」
「…おもろいモンになったから、後でベッドでじっくり見たるわ」
「ッ、はい!」


よかった。
嬉しい。

でも京さんの金髪はいいんですけど、俺の金髪はどうかと思いますけど。
いつ生えてくんだろ、黒いの。




20090304


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