性交事情/京流




今日はお互い寝る時間が重なって。
先に風呂入って寝室のデカいベッドで煙草を吸う京さんの隣に潜り込む。

まだ京さんは寝ないのか、上半身起こしてもたれたまま、煙草。


「京さんベッドで煙草とか、危ないですよ」
「何が」
「…火事とか?」
「それは寝煙草やろ」
「そうでしたっけ?」


よくわかんねぇ。
ってか京さんが煙草吸ってんの見てたら俺も吸いたくなった。
けど取りに行くのめんどい。
から、話して誤魔化そ。

枕に顔を埋めて、下から京さんの顔を眺める。
うん、格好良い。


「あ」
「なん」
「今日ドラマ見てたんですが」
「ふーん」
「京さんて俺と中身が入れ代わったらどうします?」
「はぁ?」
「中身京さんで、身体俺、みたいな」
「キモい。死ぬ」
「えぇッ!?」
「そんなドラマ見よったん。アホなんちゃう?」
「や、何か面白そうじゃないですか」
「全然。お前やろ。嫌やわぁ」
「えー…」


顔を歪めて吐き捨てる様に言われた。
そんな嫌がんなくてもいいじゃんか。


「お前は」
「え?」
「お前は僕の身体になったら何するん」
「えッ、えー…と、歌います」
「はッ」
「裸んなって鏡見ます」
「…もう喋んなお前キモいから」
「あと…」
「喋んな言うとるやん」
「……中身、京さん、身体、俺の状態の京さんとセックスしたいです」
「………」


うわ。
超ー嫌そうな顔された。
煙草をサイドテーブルに置いてある灰皿に押し付けて。


「お前ホンマ思考回路無いわ」
「や、自分の身体とヤんのは微妙ですけど、ネコに慣れてる俺の身体だとネコも平気かなーって、京さん」
「なん、タチになりたいん」
「…うーん、興味、本位?」
「はッ。るき下手そうやから無理やろ」
「なっ、そんな事無いですよ」


嘲笑うかの様に見下ろされて、思わず顔を上げた。
下手って!
ヤった事もねぇのに!!


「何か自分勝手そうやん」
「……昔の繋がりの事言ってます?」
「うん」
「ってか京さんに言われたくねっすよ」
「あ?僕フェミニストやし」
「マジで!?」


ちょっ、京さんの口からありえねぇ言葉聞こえた気がすんだけど!
フェミニストとか!
そんな気遣ったセックスするんですか女相手だと!!
ムカつくんですけど嫉妬しますよ女に。

つい勢い余って、起き上がって京さんの方に詰め寄る。


「ちょ、何やねんお前…」
「え、え、マジですか。考えられないんですけど!」
「失礼な奴やな」
「や、だって…」
「つーか、女は優しくしたらな、後々めんどい生き物やん」
「……」
「僕のステータス狙って来よって、割り切れんならえぇで。キスもセックスもフランクに出来る女もおる。けど、それは極少数やん」
「……」
「金渡して、足開いて、自分からやっとる事やのに気持ちを求める奴もおるん。冷たくしたら泣き喚いて優しくしたら付け上がって」
「あー…」

それは、わかるかも。

「でも泣き喚くん宥めるより、適当に優しくする方が楽やん」


そう言う京さんの顔は無表情。
珍しい。
女の話、とか。


「…俺、過去優しくされた事無いですけど」
「なん、優しくされたかったん?」
「ちょっと嫉妬します」
「ふーん。女はな、殴れんやん」
「…はい」
「やから、ちょうどよかったん。お前が」
「はぁ…」
「男はお前しかおらんかったから、特別」
「…え」
「お前は、その他大勢の女と一緒がよかったん?」
「ッ、いえ!」


特別。
その言葉だけでテンション上がるとか、どんだけだよ俺。

女じゃ無くてよかった。

殴られててよかった。


「まぁ、お前のセックステクが上がる事ももう無いから、タチんなる事も無いし諦め」
「…んッ」


その言葉の言外に含まれる事に、笑みが零れる。
シーツに押し倒されて唇に噛み付かれて。
煙草の味と京さんの舌。

なら受け身のテク磨きます。

今までの京さんとヤったどの女にも、絶対負けませんから。




20090220


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