※2人とも病んでます





なんで側に誰かがいるの?

なぜ貴様な側には要らない奴等が集まる?

冷たいのに

馬鹿なのに

なんでだ?


*要らない、いらない*


付き合って今日で早 一年

記念日だっていうのに素直に喜べない。
今までに海馬とは手を繋いだしキスだってしたし、初体験だって海馬だ。俺の物だって印も付いてる。
けど、あいつの側には常に遊戯がいて、アテムがいて。

“海馬は俺の物なのに"

独占欲が大きくなるばかりだ。

だからといって殺してまで側に居させようとは思わない。
殺したら せっかくの海馬の綺麗な肌に傷が付いちまうし。
なら監禁するか?
俺だけが見られるように…
よくある話だけど、それもお断り。
海馬が壊れて人形みたいになっちまうのは勿体ない。それにダントツに可愛い反応が見られなくなっちまう!

とすれば、残る方法は唯一つ。

「ちょっと城之内!人の話は聞きなさいよ!」

あぁ、もう。うるせぇ奴。


今日で凡骨に想いを告げられた日から一年。

生憎俺はそんな記念日でも機嫌は良くない。
何故あいつの側には空気の読めない付属品があんなに多いのだ?
今日という記念すべき日でもお構い無しに凡骨に近寄りおって…!

「海馬君 そんなに何を悩んでいるの?」

遊戯の言葉も気に留めず
俺の頭は邪魔者を如何に取り除くかでいっぱいだった。

せっかくの恋人を殺してしまっては勿体無い。空き部屋なら幾つもある。いっそ城之内を監禁してしまって邪魔者のいない俺だけの世界を作ってやるか…しかし、それでは2人で出掛けられないからつまらない。

やらなければならないことは唯一つ。

『邪魔者を消さなくちゃ』

案外簡単だった。
遊戯とアテムと一緒にゲーセン行って、駅のホームで2人まとめて後ろからドン。
泣いて名前を叫べばアイツラの自殺扱い。
次の日の朝刊も自殺扱いだったし。

はい おしまい!



意外と簡単だった。
真崎といつもの仲間の男共と一緒に不本意ながらゲーセンに行き、駅のホームで全員を突き落とした。
二列で並んでいたから簡単だったな。

名前を叫べば馬鹿共の集団自殺だ。
朝刊には集団自殺の悲劇、とかいう題目で載っていたな。


おしまい、だな。


次の日には6人の机に花が入った花瓶が置かれていた。

クラスメイトの すすり泣きがうるさい。
記念すべき日なんだから、みんな喜ぼうぜ?

海馬が来た。

海馬に笑顔を向けると、海馬も にっこり笑ってくれた。

『屋上に行くか?』

口パクだったけど 読み取れた。

「行くに決まってるだろ」

屋上に着いた。ドアを開けると澄んだ青空が見えて、照りつける太陽が眩しかった。

「海馬 やっと海馬とゆっくりできるようになったな」

「俺の言おうとしたことを言うな 凡骨」

「今日から今日も記念日だなぁ…」

あれ?何だろう。何か頬っぺたが めっちゃ濡れてる感じがするんだけど。

「なぁ海馬 俺さ 今どうなってる?」

「自分のことも分からんのか 馬鹿め」

そう言う海馬の頬も びしょ濡れだ。
なんでそんなに泣いてるの?
ああそっか、俺 泣いてるのか。

「海馬 そんなに泣くなよ」

「貴様だって同じだ」

「なんで俺達泣いてるのかな」

「一つ理由があるとすれば――記念日が増えたこと、だろうな」

これが嬉し涙なのか そうじゃないのかなんてどうでもいい。

「そうだな!」

邪魔者が消えたんだ。
たとえそれが友だったとしても、消えてくれたことには変わりない。

良いんだ、別に

海馬がいれば

城之内がいれば

2人でいられれば、それだけで


(終わって)

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