近頃 海馬家の使用人達の
間で奇妙な噂が
流れている。
夜中に真っ暗な
廊下を歩いていると
後ろから足音が聞こえ、
振り返るとそこには
何も無く、ただある部屋の
扉が勝手に閉まっていくと
いう噂だ。
それも毎日の事ではなく
不規則に起こるらしい。

「でね、その部屋が……
瀬人様の部屋なのよ!」

「えぇっ?」

「けど瀬人様だったら
大丈夫じゃない?」

「幽霊でも妖怪でも
怖がらなさそうよね〜」

ふと廊下でこんな会話を
耳にし、下らないと思い
特に気にしていなかった
ものの…噂が大きくなるに
つれてその正体が
気になりだしたのだった。

「そんで俺に泊まれって
頼んだんだ」

「別に頼んでなぞいない!
『気になるなら来い』と
言っただけだ」

「俺が海馬の一大事なのに
気にしないと思ったわけ?
確信犯さんよ」

「…っ うるさい…///」

「んじゃ 今日は海馬の
部屋の隣でスタンバイして
足音がしたら、その正体を
捕まえればいいんだな?」

「そういう事だ」

「ちゃんと守ってやるから
安心してていいぜ」

「当たり前だ いちいち
真剣な顔で言うな///」

「おっ 照れてる」

「うるさい!俺はもう
寝る!」

「はいはい おやすみ〜」

城之内は俺の部屋を
出て、隣の部屋に
入っていった。

(下らん…非ィ科学的な物
が正体だったら合わせる顔
が無くなるではないか)

そう思いつつも城之内を
呼んでしまったのだから、
あとは流れに任せる
しかない。




「寝れん…」

なかなか眠りにつくことが
できず、目を閉じて
しばらくしては諦め、
天井を見つめたりを
繰り返していた。
時計を見れば
もう夜中の2時頃だっで、
また寝ようと目を閉じて
少しした時だった。

廊下から足音が聞こえ、
俺の部屋の扉が
開けられた。
足音の主はそのまま
此方に向かってくる。

(何者だ…!?)

俺に触れた瞬間に
撃退してやろうと寝たふり
をしながら身構える。
近づいてきたものが
ベッドに体重をかけ、
ギシッとベッドが軋んだ。
いざ今に触れられるか
覆い被さられると
思うと、不安になり目を
ぎゅっと閉じた。

しかし部屋に入って
きたものは 俺の隣に
寄り添うと、そのまま
寝息を立てて眠り始めた。

そのまま暫くしても
何もされる様子が無いため
隣のものを見てみると



「凡骨!?」

部屋に侵入した上
勝手にベッドに入り込み
余計な心配をさせた
犯人は凡骨…もとい
城之内だった。
呆れる傍ら怒りも少し
湧いてくる。

「この馬鹿が…」

すやすやと
気持ち良さそうに寝ている
凡骨の頭を一発小突いて
俺も眠ることにした。

(今度からは、
一緒に寝てやっても
いいかも…な)




何だかんだ言って
城之内に甘かったり
頼ってたりの社長


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -