森の近くにある、
とある街で俺は弟と
暮らしていた。
親は俺達兄弟が幼い頃に
病にかかり
死んでしまい、
それからは頼る親戚も無く
弟のモクバと
2人きりだった。

「では、行ってくる」

「気をつけてね!
行ってらっしゃい!」

2人きりである以上
2人で働いて家計を
もたせていた。
モクバは森で拾った
枝や木の実などを
売っていて、
俺はというと…

「おぉ!退治屋様!」

家の外で待ちわびて
いたのだろう、依頼主が
駆け寄って来た。
この発言通り、
俺は退治屋をしている。

「様子はどうだ?」

「はぁ…時々叫んで
ひどく暴れます
縛りつけているのですが
縄を引きちぎりそうです」

「なら一刻も早くせねばな」

「お願いします…!」


娘のいる部屋に
案内されたが、廊下から
既に叫び声が聞こえた。
手に札を用意し、
すぐさま部屋に入る。

「なるほど…」

憑いているのは
力が少し強いだけの
悪い妖精だった。

(驚かせて祓うか…)

術式の施された腕の
装具に札をセットする。

「ブラッド・ヴォルス
召喚!」

すると、部屋に精霊が
現れ、精霊がそこそこの力
を持っているからか
妖精も脅え、動きを
止めた。

「行け!」

精霊が剣を片手に
切りかかっていく。

「キィイイイイ!!」

娘は甲高い声をあげた
途端、脱力して
ぐったりとした。

「これでひとまず安心と
言ったところか」

「あ、ありがとう
ございました!」

「報酬は きっちり頼むぞ」

「分かっています
これが報酬です」

報酬を受け取ると、
俺は依頼主の家を後に
した。

その後も二件の仕事を
片付け、すっかり
暗くなったなか家までの
道を歩いていた。
ふと 漂っている
血の匂いに気づき、
急いで匂いのもとを追うと
裏路地に辿り着いた。

奥に何かいるのは分かるが
危険な妖魔だった時のこと
を考え、札を構えながら
近づいていく。

「!?」

正体は、重傷を負った
青年だった。

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