やっぱ、夏って良いもんだよな

夏休みに海水浴、
花火大会に縁日、
流れる汗に火照る身体
そんでもってクールビズ!


「…なんだ」

海馬を見つめつつ
夏の良い所をぼーっと
考えていたら不審な目で見られた。

「いやぁsexyだなぁって思」

「黙れ」

「仕方ねぇじゃん
そんな格好なんだからさ」

「ついにイカれたか」

「いやいやいや
俺を始めとして
全国の同志が同じこと言うぜ」

「ほう 貴様のような
馬鹿がもう全国に
はびこっているのか」

「…思春期少年の事」

「知るか」

キーボードを鮮やかに
タイプする海馬。
汗が頬を伝って、
それを白い腕で拭って
第2ボタンまで
開けられたシャツからは
鎖骨が見えて…
うん、ヤバい。

「海馬」

ちらりと目線が向けられた。

「花火見ねぇ?」

「花火?」

「そうそう 今日
夕方に花火大会あるんだよ
この高さなら
よく見えるだろうからさ」

「凡骨にしては なかなか
風流な事を言うな」

「だろ?で、せっかく
だから浴衣着ようぜ」

「なぜ わざわざ着る
必要がある?」

「雰囲気でさ」

「ふむ…いいだろう」

「よっしゃ!」

「夕方7時頃には
準備しておく」

「んじゃ それくらいの
時間に行くから」

狙いは海馬の浴衣姿。
しかも2人っきりで
花火まで見れる
この機会に賭けていた。
正直 辛辣に断られるかと
思ってたけど、
幸い計画は上手くいきそうだ。

夕方まで
昼寝しているクソ親父のいびきを
BGMに、去年の教訓を
生かして宿題を進めた。



「ふん、ようやく来たか」

電気の消えた社長室の
窓際に立つ、すらりとした
藍色の人影。

「遅れたみたいな
言い方するな…」

よ、と言う前に
大きな音と共に広がる
鮮やかな大輪。

「ギリギリだろう?」

「結構ギリギリだったな;」

「待ってしまったではないか」

「もっと可愛い言い方しろよな」

「俺の勝手だろう」

「へーへー 分かりました」

ふっと微かに笑う
海馬の隣に歩み寄る。
色とりどりの花火が
次々に開いては
消えていく。


「どちらにする」

花火に見入っていると
不意に出された
二つのかき氷。
暗くてシロップが
よく分からなかったから、
とりあえず
右の方を選んだ。

「わざわざ用意してくれたんだな」

「花火と言ったら
かき氷だろう?」

「分かってんじゃん」

「モクバとこうして
花火を見ていたからな」

「なるほど」

かき氷を一口食べる。

「あ、ブルーハワイだ」

「ブルーハワイ?」

果物らしい味のしない
独特の甘さが
口中に広がる。

「やっぱブルーハワイだな」

「…そうか」

少し残念そうな言い方が
気になった。

「かき氷でもブルーアイズ色が
好きなんだ?」

「……ふん」

やっぱりそうだ。
流石ブルーアイズ馬鹿だな
と心の中で呟く。

「全然 じゃあ海馬の方は何味なんだよ?」

「秘密だ」

「秘密とか言うなって」

「秘密は秘密だ」

「一口やるからさ
交換しようぜ交換!」

「しつこい!」

花火を眺めて
かき氷を食べ始める
海馬。
強行突破するか。

海馬のかき氷に
スプーンを素早く
差し込み、頂戴した。

「! 貴様!」

「イチゴ味だったんだな」

「俺は取って良いなど
一言も言ってないだろう!」

「良いじゃん、一口くらいさ」

「まったく…これだから凡骨は…」

「じゃあさ」

「今度は何…!」

海馬の言葉は
唇を塞がれたために
最後まで続かなかった。

「海馬味 もーらい」

「…ったく貴様というやつは…////」

「ごちそうさまでした」

「凡骨」

「ん?」

「俺にも味あわせろ」

直後に海馬からのキス。

「凡骨味だな」

「やるねぇ海馬君」

「目には目を、だ」

「じゃあ俺も」

2人で笑って
またキスをする。
金色、赤色、緑色
カラフルな光に
包まれながら
それからもしばらく
俺たちはキスの交換を
続けていた。


(甘い甘い味がした。)

(終)

久々になりました城海小説
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