もうちょっとでヒロト達が
待ってる空き地に着く。

俺は切れ残った鎖が
着いたままの男の子と一緒に
空き地を目指して走っていた。

「ヒロト!あっくん!遊戯!!」

空き地に着くなり、俺は
三人の名前を呼んだ。
三人が俺の方に振り向く。

「おかえり 城之内君!」

「大丈夫だったか!?」

「幽霊出たか!?」

「ああ 大丈夫だよ」

「なぁ 幽霊は?」

「お前 俺より幽霊の心配するのかよー!」

「お前も心配だったけど 幽霊が出たか
どうかも気になるんだよ」

「幽霊は出なかった」

「なんだよ…克也を行かせた
意味ないじゃん」

「けど…噂は本当だったんだ」

「えっ…?」

みんなが驚いた顔をした。

「それって、あっちの噂のことかよ」

「うん 包丁があったんだ」

「本当だったんだね…」

「血の跡も残っててさ すごくびっくりした」

「けど 幽霊が出なくて良かったな」

「うん そういえばさ、かなり揺れたよな」

「揺れ?」

「ボロ屋敷の中だったから
びっくりしたよ」

「城之内君」

「ん?」



「でかい揺れなんて、無かったぜ」



「え…っ」

「克也 お前勘違いしたんじゃねぇ?」

「そんなはずないよ!
確かにガタガタ揺れてたんだから…」

「けど 本当に無かったんだよ」

あんなに大きな揺れが
無かったなんて、信じられなかった。
きっと僕と一緒に来た
男の子が
はっきり言ってくれると思ってた。

「ねぇ、確かに揺れ……」

振り返って 言葉が止まった。

「いな…い」

「どうしたんだよ?」

「後ろにいた男の子がいないんだよ
一緒に来たのに!」

「何言ってるんだよ?」

ヒロトが不思議そうな顔をしている。

「お前しか いなかっただろ」

「……!」

幽霊屋敷出て、俺といて、
一緒に走って、話して、
ここまで来て、

俺は頭の中で ついさっきまで
確かにいた男の子との
行動を確かめるように辿っていた。

「ってことは、さ…」

「城之内君といたのは
幽霊だったってこと…?」

幽霊…みんなに見えなくて、
俺にだけ見えた あの子は

「幽霊…」

分かった途端、全身の力が抜けて
へたり込んだ。

「城之内君! 大丈夫か!?」


あの子は本当に幽霊だった

それだけが、頭の中を
ぐるぐると巡っていた。


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