命からがら逃げ出したって言っていいほど
全力疾走して屋敷を脱出した。

地震は とりあえず終わったらしい。

「はぁ…はぁ…危なかった…」

あんなに大きな揺れは初めてだったし、
何より噂が本当だったって
分かっちゃったのが怖い。

「本当だったんだ…」

「何が?」

「っ!?」

不意に横から声がしてびっくりした。
横を見ると 咄嗟に連れて逃げてきた
男の子がいた。

「何が本当だったの?」

「あの噂だよ」

「どんな噂?」

「あの噂って言ったら この屋敷の噂だよ!
知らないの?」

「うん 聞いたことないな」

街中で噂になってて
学校のみんなも大人も知ってるのに
知らないなんて言ってる人は初めて見た。

「へぇ…知らない人もいたんだ」

「聞いたことがないからね」

「それなら仕方ないね」

幽霊屋敷から脱出したし
早くヒロト達の所に戻ろう。
歩きだそうとした所で
袖をくい、と引かれた。

「えっ…」

「君はどこに行くの?」

「友達の所に戻るけど」

「僕も…一緒に行っていいかな
噂を知りたいし、久しぶりに
遊びたいんだ」

「多分いいと思うよ」

「ありがとう」

男の子が笑う。

「じゃあ 行こっか」

歩きだしてすぐ
後ろで どさっと音がした。

「いたっ」

「大丈夫!?」

振り向いて俺は男の子の足に
鎖が繋がっているのに気付いた。

「鎖…?」

「やっぱり離れられないかな…」

行きたいのに、と言って
男の子の目に涙が溜まっていく。

「俺が切ってあげるよ!」

可哀想になって咄嗟に言った。

「本当に?」

「うん なんとかやってみる」

鎖をつかんで、思いきり引っ張る。
相当古いのかギチギチいってきてる。

「切れろぉ…!」

さらに力を込めて引っ張っていると、
一瞬光ってパキンと音がして鎖が切れた。

「切れた…!」

「よかった 切れて」

「うん ありがとう!」

「じゃあ早く行こっ
みんな待ってるから」

「うん」

俺と男の子は一緒に
ヒロト達の所に戻るために走りだした。


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