幽霊屋敷に入った。
床はところどころ穴が開いて
壁も汚れていて、家の中は薄暗い。
もう玄関から不気味なオーラが
充満してる。

(出ない出ない 幽霊なんか夕方に出ない)

幽霊は夜に出るんだからな!
と自分に言い聞かせて廊下を進む。
廊下は突き当たりで右と左に別れていた。

左に進むと

「リビング?」

ひびの入ったテレビが台の上に、
古びた洋風のテーブルと椅子が
色の落ちたカーペットの上にある。
テーブルを触ってみると、ざらりとして
ホコリがたくさん手に付いた。

(長い間 ほったらかしになってるんだなぁ)

次にお風呂場に行ってみる。
ドキドキしながらドアを開けると
空っぽのお風呂と床に転がった桶。
そして目線を上げると

「うわぁ! あ、あれ?」

大きな鏡があって、そこに映っていたのは誰かと思ったけど…自分だった。

「なんだぁ 鏡に映った俺じゃん」

ちょっと安心して移動する。
次は二階に行ってみよう。

ぎしっ ぎしっ ぎしっ ぎしっ

登る度に階段が軋む。
家中が古くてボロボロで上っている間に
崩れないかすごく不安だった。
無事に上り終わると、俺は一つずつ
部屋をまわっていった。

大きなベッドのある寝室
布団をめくると飛行機のおもちゃが
あった。

2つ並んだ子ども部屋
片方はぬいぐるみや
おもちゃがあって、
もう片方は教科書とランドセル
あとは本がたくさんあった。

他にはトイレと空き部屋が一つ
あるだけだった。

「なぁんだ…幽霊なんて出ないじゃん」

ここまでまわって出ないんだもん。

階段を降りて早くヒロト達の所に戻ろう。
玄関の所まで来て、俺は廊下の突き当たりの左側に行くのを忘れていたのを
思い出した。

引き返して突き当たりを左に進んだ。
こっちは奥に戸が閉まった部屋が
あるだけだった。

(何だろ この部屋?)

戸を開けようと引っ張ってみる。
けど、古いからか なかなか開かない。
それからも頑張って引っ張っていると、
いきなり開いて
俺は思いきり尻餅をうった。

「いったぁ〜…」

戸の向こうは和室だった。
腰をさすりながら入ると、すごく広くて
まだ奥に和室があるのが分かった。

(こんな家に住んでみたいなぁ)

大きさに感心しながら 奥の襖を開けた。

「わっ…!何、これ…」

飛び散ったように壁や畳に
点々と付いた赤茶色の点。
部屋の右側の隅の赤茶色の大きなシミ。

部屋の真ん中に落ちている何か。

俺はその"何か"を拾った。

柄が付いてて、先が尖ってる。
刃も…錆びて赤茶色。
この赤茶色、何?


        血 ?

気がついた瞬間、持ったものを
投げ捨てた。

この屋敷のもう一つの噂があったのを
思い出した。何年か前に、屋敷に
父と子ども2人が住んでいた。
父親はしっかりした頼れる人柄で、
子どももしっかりしていたから
近所の評判は良かった。
しかし、ある日 気が狂った父親は
自分の子どもを殺した。
それから父親は どこかに消えた。
そして、そこには幽霊が出るようになって
まだその時の血が残っていると。

「えぇ……」

噂を思い出した途端に腰が抜けて
俺はその場にへたり込んだ。
すると、いきなり地面が揺れだした。

(地震!?)

もともと古い屋敷の あちこちが軋む。
天井を見ると、ヒビが入りだしている。
落ちてくる前に逃げ出そうと
俺は激しい揺れのなか立ち上がって
走りだした。

和室を出て、玄関を目指す。
和室を出た時に
ちょうど突き当たりの所に男の子がいた。

「おい!今 入っちゃダメだ!」

叫ぶと 男の子はぴたっと止まってこっちを向いた。

「崩れる前に出るよ!!」

俺は男の子の手を掴んで、そのまま屋敷を出た。

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -