久しぶりに夢を見た。

最近は仕事詰めで、仮眠をとったとしても夢を見るほどの仮眠はとれていなかったのだ。

夢の中で俺は、自分の家ではない、どこかの家のリビングにいた。

俺は椅子に座っていて
テーブルを挟んだ向かい側には男がいた。

男は立つと、すぐ後ろのキッチンから2種類のパンを持ってきた。

「こっちが未来、こっちが過去 どちらかを見られるようにしてやるからさ、どっちがいい?」

俺は未来を見て失望するよりは 過去を振り返り経験を生かす方が良いと考え、俺は過去を選んだ。

「体は、手足は勿論
耳も口も目も鼻の穴もさ
2つずつ付けてやるからな」

「いや 口はいい」

俺は咄嗟に言った。

「口が2つもあったら
まず化物だろう?
それに俺は一人で話し合いも口喧嘩もしないのでな

それに、キスは一人とでいいのだ」

最後のは、凡骨のことが思い浮かんだので付け足した。

男は「ふーん」と気の無い返事をすると
少し不機嫌そうに

「じゃあさ、一番大事な心臓は両胸に付けてやるから
いいだろ?」

俺は少し迷った。が、

「いや…心臓も一つでいい」

「なんでだよ?心臓が一つだけだったら心臓が悪くなったり心臓を撃たれたりした時に
すぐ死んじまうんだぜ?」

「確かに それも一理あるが
俺は抱きしめられた時の
、胸の両側で心臓が鳴るのが はっきりと分かるあの感覚が…好きなのだ」

凡骨に抱きしめられた時
口では嫌だと言うものの、あの暖かさと胸の両側で互いの心臓が動くのが微かに、
しかし はっきりと分かるのが心地良いのだ。

左は俺、右は凡骨
凡骨からすれば
左は凡骨、右は俺

たまにしか会えない
その機会に抱きしめられると
つくづく俺は凡骨無しでは駄目なのだと感じる。


「じゃあ 最後にもう一つだけ
涙はどうする?
別に付けなくても支障は無ぇけどさ
付けねぇ奴もいるし」

涙を流さない人間など
いない。
感情を隠したとしても、必ず涙は流れるからだ。
本当の感情を知る上での重要な証拠。
それほど大事な物を欠かすわけにはいかない。

「付けてくれ」

「味はどうする?
甘いのにも辛いのにも
できるからさ
どれでも好きなのを選べよ」

俺は答えた。

「塩辛くしてくれ」

「…最後にさ、泣き顔を見せてくれねぇか?
これで全部 お前が望んだ通りになってるはずだから」













「海馬 おい海馬!」

俺は目を開けた。

「…何だ 騒々しいぞ」

「だってバイト終わって来てみたら海馬寝てるし いきなり泣きだすしさ」

なら 凡骨が起こさなければ
俺は あの男に泣き顔を見せる事ができていたということか…

「貴様のせいで見せられなかったではないか!」

「何だよ 見せられなかったって!(汗)
人が心配して起こしてやったってのによー…」

ちぇっ と言って少し不機嫌になる凡骨

何処と無く…あの男に似ている。

「凡骨」

「…んだよ」

「もしかしたら俺達は、
何処かで会ったことがあるのかもしれんな」

凡骨が目を丸くした。

「海馬 そんな分かりきった事言うなって」

凡骨が俺を抱きしめる。

「会わなかった訳無いだろ」

「そうかも…しれんな」

「だから 絶対会ってるんだって」

「…そうだな」

正直 確信は出来ないが、
そうであって欲しい。

それから俺は暫く凡骨の腕の中の
心地良さに浸っていた。


(終)



はい、甘いですね;
大概甘いですけど これは激甘ですね…
今回は某バンド様の歌を
テーマにしました。
所々 歌詞とかなり似ています。
分かった方、ぜひレスに
報告ください
語りましょう!!(コラ)
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