*2*


俺は自分の目を疑った。

だが何度目を疑っても確かに、俺の目の前には玉座に座る剛三郎がいた。
しかもご丁寧に豪華なドレスまで着ている。


「随分と遅かったな 瀬人…何をしていた?」


そういうと生きていた頃と変わらないニヤリという効果音が似合いそうな笑顔を見せた。


「貴様に話す筋合いは無い」

「母に向かって生意気な口をきくようになったものだな」

やはりこの非ィ科学的な夢の中では俺もアイツも女の設定らしい。

「貴様のような奴 親と思ったことなど無いわ それに気安く名で呼ぶな」

「では いつものように白雪と呼ぶこととしよう 我が娘はその方が好きらしいからな」


(この世で最も会いたくない奴に会うことになるとはな…)

俺は一刻も早くこの場を離れたかった。


「では白雪 今日はサバイバルの訓練だ 今日は1日森で過ごして来い」

アイツが外に行くことを言い渡してきたことに俺は正直ほっとした。

「行ってこい」

言われるとすぐに俺は部屋を後にした。



後ろで剛三郎がまたニヤリと笑ったのにも気付かずに…


城門から出るとすぐに森だった。
俺は食料調達の為に果物の生っている木を探しながら森の中をさ迷い歩いた。
だが、目的の木はなかなか見つからず俺は疲れて近くにあった切り株に座った。


「これだけ広いなら一本くらい実のなる木が生えていてもいいはずだが…」


ふぅ…と溜息をついた瞬間


「瀬人ぉおおおお!!」



振り向くと俺の後ろには剣を振り上げている兵士がいた。


(続)


この兵士、実は
社長に指を折られた
あの社員さんという設定です
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