怖い話をしよう



怖い話をしましょう。
これは、ボクが幼い頃に聞いた、本当かどうかも分からない、怖い話。


ある一人の少女は、いつものように家に帰って来ました。両親は仕事で外出していて、夕日で赤々と染まる空を背に、彼女はドアを閉めました。
普段通りに自室に入って、普段通りに宿題をして、親が帰ってくるまでの時間を潰しました。
しかし、外が暗くなっても、母親が帰ってくる気配がしません。
また数十分ほど経つと、微かな尿意を感じたのでトイレに入りました。
便座に腰をかけると、なんだか視線と寒気を感じました。
彼女は怖くなりましたが、後ろを振り向きたくなくて俯きました。
すると、ひたり、と後頭部になにか生暖かいものが降ってきました。
少女はそっと顔を天井に向けると、そこにあったものに驚愕しました。
血ですよ。人間の。正真正銘の、真っ赤な血が天井一面に塗りたくられていたのです。
少女はとても恐ろしくなって、急いでトイレから出ました。
そこで、玄関から母親の声が聞こえました。帰ってきたんです。
少女は希望に満ちた表情で、階段を駆け降りました。
……ああ、そうですよ。これ、一軒家です。
しかし、降りても降りても下の階に着きません。
後ろを振り向くと、どす黒い影のようなものが追ってきます。
少女は、延々とその階段を駆け降りるのです。




という話です。
ね、赤司くんの家の離れの階段と、少し似ているでしょう?
全然違いますか?
そうですか…。
…え、少女は延々と階段を降りているのに、どうしてそんな話が広まったのか…?
さぁ…。もしかしたら作り話かもしれませんし、少女は助かったのかもしれませんよ。
もしくは――それを仕掛けた人間がいる、とか…。
ま、こういう『怖い話』なんて、大抵作り話なんじゃないですか?
だって、救いようのない話だってたくさんあります。
じゃあ、救われないのにどうして話が広まるのか。
ただの噂だからですよ。
キミもあまり人の噂を信用してはいけませんよ。
…それでは、ボクの話はここまでにしておきましょう。
オチが弱いですか?
仕方ありません。ボク、他人にこういう話をするの、苦手なんですから…。
せめて…本当にならないといいですね。



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トイレにまつわる怪談というのは思いのほか多いものです。
今回の最後の周にふさわしくないこの話は、
私が確か小学校1年生くらいの時に幼馴染のお姉さんに聞いた話です。
昔から怖い話が嫌いだった私は、この話がとても怖くて
あれから10年ほど経った今も忘れられません。
こうして文にしてみると、どこが怖かったんだろうと首を傾げてしまいますね。

さて、これは黒バス縛りに含まれるのでしょうか。
含まれなかったらごめんなさい……。

1ヵ月間ありがとうございました。
あとの2話はきっと最後にふさわしい素敵な作品になることでしょう。
…もしかしたら、私の小説だけ誰も読んでない、なんてこともあるんでしょうかね。

お目汚し失礼しました。
また機会があれば、こういった作品を書いていきたいです。
耶生でした。




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