その日僕はいつも通りの毎日を送って居たんです。いつもなら部活帰り火神君と一緒にマジバに寄ってバニラシェイクでも飲みながら、バスケの話をする。そんな毎日を過ごして居たんです。
「…―っ!!」
帰り道、僕は暴走車に轢かれた。気が付いたらこの姿。地面に血溜まりの中でぐったりと倒れている自分の体。あれではもう助からない、即死、ですね…。……意外と冷静ですね、僕。自分的にはもう少し取り乱すのかと思ったんですがそうでも無いみたいです。さて、これからどうしましょうか…
僕が亡くなって一週間が経ちました。まぁ、大変でしたね。火神君が泣きながら暴れて犯人の所へ殴り込もうとして、結局先輩達や同級生の皆さんに押さえ付けられていました。キセキの世代も僕のために泣いてくれました。正直僕は嬉しかったです。こんなに多くの人が僕のために泣いてくれて…僕は生きていたんだと実感しました。
それで天国へ行けたら良かったんですが。
最初に言いましたよね?「亡くなって一週間が経った」と。先程の話は一週間前の話なんです。何かに縛られいる感じがして上に行けないんです…。上さえ行かなければ自由に動く事ができるのですが上に向かうと体が痺れて動けなくなるんです。ここにいても仕方ないので誠凛高校に行こうと思います。
誠凛の体育館では相変わらずボールの弾む音が聞こえてくる。主将の怒鳴り声。カントクが吹くホイッスルの音。バッシュの体育館を駆ける音。ゴールに入るボールの音。一週間前は当たり前に過ごしていた場所なのに今じゃとても昔の事に思えてくる。まるで僕は最初から居なかったみたいに時間は進む。
………。バスケ…やりたいです…。
皆とまだバスケがしたかった。バスケして笑いあって火神君と一緒にマジバで喋って、まだやりたい事沢山あるんだ。僕は火神君と一緒に居たいんだ。
火がみ君とイッショに…バスケガヤリタイ。
ふと自分の中に気持ち悪い感情が芽生えた。何なんですかこの感情は…自分のとは思いたくないです…。暫くは火神君達に近寄らない方がいいですね…。
でもそれは叶う事の無い願いだった。いままでは意識を失う事は無かったのに気が付くといつも火神君の後ろに居た。何度も何度も僕は気が付くと火神君の後ろに居る。そして不思議な声も聞こえてきた。最近では意識が無くなる感覚が短くなりあの不思議な声も頻繁に聞こえるようになってしまった。上に行こうとすると痺れて動けなくなってしまうからどうにも出来ない。そんな事を思いながら僕はまた意識を失った。
ああ…また、火神君の後ろに居る…。もう嫌だ…何なんだ…僕は何がしたいんだ…!!
カガミクントイッショニイタインデスヨ。
え?だ、誰ですか…。
モウ、イイデショウ?ソロソロボクニカワッてイタダイてモ。
何が、言いたいンデスか…!!
ボクハ「僕」トハ違ウ。待チクタビレタンですヨ。サッサト替ワッて頂キタイ。
イヤだ!!助ケて下さイ!!火神クン!!
僕は手を伸ばすが手は火神君の頭をすり抜け虚しく空をかいた。そしてその手をもう一人の僕が掴んだ。
ホら、君は誰にモ触れラレナいし、君の声は誰にモ聞こえナイんです。さぁ、モう少しで僕は「僕」になる。君に成れルんです!!そしタら君は消えてしマうけど、僕が残るから良いでしょう?
にっこりと笑う「僕」。その目には火神君しか写っていなくて他の物は闇の中に消えてしまっている。
あ、火神君が行ってしマいマす。
ま、まッテクダサイ!!ア、レ…?コエガオカシイ…?ナンデスカコレ…
僕と「僕」が代わったんですよ。やっと全部代わりました…。これで漸く愛しの火神君の元へ行けます。僕、ありがとうございました。それではもう一人の僕は気を付けて下さい。
すぅっと消えたもう一人の僕。僕はなす術もなく置いて行かれてしまった。そして後ろから何かに見られている気がして僕は後ろを振り向くと不気味なものが僕を見ていた。
ウマソウ。
ヒッ!!ハ、ハナシテクダサイ!!
不気味なものは僕の足を掴み自分の方へ引き寄せていく。そいつは大きな口を開けている。僕は次に起こる事が嫌でも解ってしまう。
イヤだ!!ハナセ!!ダ、ダレカ…タスケテクダサイ!!カガミク
僕の言葉は最期まで発せられる事はなく闇に消えた。
「「僕」は喰われましたね。まぁそれはどうでもいい事です。火神君さえ無事なら…」
僕は火神君の後ろで呟きながら目の前の彼に着いていく。ああ、目の前の彼はお日様の様な笑顔で友人らしき人と歩いていく。
「何時見ても可愛い笑顔です…でも、僕以外にその笑顔を見せるのは頂けませんね…そろそろ火神君も此方へ来てもらいましょうか」
僕はにっこりと笑いながら火神君の首を軽く締めた。少し彼の表情が歪んだのを確認して僕はもっと笑みを深くした。
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皆様こんにちはー(・∀・)
先程書き上げた麗希ですw
今回は黒子君に犠牲になって貰いました…黒子好きな方は申し訳ありません。そして怖くなくてすみません。今回も怖くしようとはしたんです…怖くならなかったけど←
すみません。黙ります。
さぁ皆様!!こんな作品忘れて次の作品に期待しましょう!!
ではでは…