――かすがさん改め、かすがちゃんとの一日が始まった。

お願いをして一緒の部屋で幼女姿のかすがちゃんと一緒に起床する。

…失敬。

起床することは出来なかった。

何故なら私の寝坊癖は戦国時代に来ても直らないからだ。

一緒に寝たはずのかすがちゃんは既に起床し、私の目の届かないところに行ってしまっている。

私は目を覚ますと、二度寝に入るために微睡み始める。

極上の時間を楽しんでいると、天井裏から私の上に何か振ってきた。


「ぐえっ……乙女の寝床に振ってくるのはどうかと思いますけど、佐助さん。」

「はぁ…今、何時だと思ってんの。早く起きてきな。」

「いえ、今から二度寝に入りますので。」

「…実力行使して欲しいってこと?」


 深い溜息をついた佐助さんは私のオアシスである布団を吹っ飛ばした。

毎日やられているので、これは対処法を心得ている。

掛布団に引っ付いて寝床を守る。

そして、そのまま簀巻きのように転がった。

…うーん…これはこれで眠れるかもしれない。

再び微睡み始めると、佐助さんの恐ろしい宣告が聞こえた。


「へぇ…俺様に着替えさせてほしいってわけ。じゃあ名前ちゃんはそのまま寝てていいよ。好きに着替えさせてもらうから。」

「うぇぇぇ!?破廉恥反対ですよ、佐助さん!起きます、起きますよ!」

「あら、残念。優しい俺様が寝坊して普通は食べられないであろう名前ちゃんのために朝餉を準備しておいたから早く着替えて来なよ。」


――簀巻きの中に手を差し入れた佐助さんに驚いて私は布団から出てきた。

…だってあの手、太腿に触ってきた。

ぞわってした、すごくぞわってした。

観念して起き上がった私を確認すると、佐助さんが今度は襖から出て行った。

…天井裏からやって来たのに襖から帰るってなんか矛盾している気がする。



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