伊達さんがこちらに注目したと同時にかすがちゃんの可愛いほっぺにキスをしてみた。

すると、ナイスバディなかすがちゃんが現れる。

その変化に幸村さんは何故か驚いたようで「破廉恥でござる!」と叫んだ。

…私の時とは大違いじゃないか、こんちくしょう。


「伊達さん、知ってますか。南蛮の童話では、王子様が姫様にキスをすると魔法は解けるんですよ。大体、私の力もそんな感じです。この場合はまさにその通りですよね…いや、大多数はお姫様じゃないんですけど。ダントツに男に口づけることが多いんですが。…あれ、悲しくなってきた。小太郎君、今度魔法を解く時は女装してください。」

「……。」

「って風魔、なに頷いちゃってんの!?名前ちゃんの無茶なお願いは聞かなくていいんだからね!?」


――私のお願いに小太郎君が頷くと、佐助さんは焦ったような表情で小太郎君に食いついた。

…おぬし、分かっておるな。

小太郎君が受け入れたら、自分も魔法を解く時に女装する羽目になるのを。

その様子を愉快そうにかすがちゃんと一緒に眺めていると、先に伊達さんと幸村さんが笑い出し、ついに耐え切れなくなったのか、極道のお兄さんの方が噴出した。

…笑うと正統派イケメンだな、この人。


「OK!正式に武田と同盟といこうじゃねぇか!…で、武田のおっさん。今度はどいつと同盟を結ぶ?魔王を倒すんだ、味方になりそうな奴らは片っ端から仲間に引き入れていくんだろ?」

「ふむ…佐助の調べじゃと西国の鬼と同盟が組めそうだという話じゃ。ちと距離はあるが、交渉している最中じゃ。」

「…それならば、私が謙信様を通して慶次に話をつけよう。アイツは西国の鬼とも面識があるようだ。上手くいけば、加賀の前田もこちら側についてくれるかもしれない。」

「え、かすがちゃんの言っていたあの「けいじ」って人?…恋の話をするっていうあの?」

「そうだ。よく覚えているな。」

「なんか面白そう!会ってみたい!」


 私がかすがちゃんの話に食いついてみせると、御館様は顎に手をやって興味深げに話を吟味した。


「…名前もそう言っておるしのう。頼まれてくれるか、上杉の忍よ。」

「謙信様の御心のままに。謙信様が頷けば、動いてやる。それでいいか。」

「よい、よい。ほう…面白くなってきたのう、幸村よ。」

「左様でございます、御館様――!!」


…いつもの殴り愛が始まったので、急いで2人から離れる。

これからのことを考え、私は胸を集らせたのだった。

…どんな幼子に会えるのだろうか!

おら、ワクワクしてきた!





――第九話 「さいかわですよ、かすがちゃん」



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