April 3


――どうしてこんなことになった。



 私は双子の兄である小十郎お兄ちゃんと共に溜息をついた。



 事の発端はあの昼休みに幸村さんと購買に行った時のことであった。

親が海外へ単身赴任していることもあって、今は兄と2人暮らししていることを幸村さんに伝えたところ、ご飯はどうしているのかと聞かれ、お兄ちゃんが野球部で遅くなる時は適当に食べていると答えたら幸村さんは何だか泣きそうな顔をしていた。

何となく気になったけれど、それを放っておいたところ、幸村さんと佐助君の養い親である武田さんの耳に入り、夕飯を御馳走になる話がとんとん拍子で進んでしまった。

しかもその話を当日の塾の終わりに佐助君から聞いたものだから、溜まったものじゃない。

もう既に準備は終えており、断るにも断りづらい展開に陥っていた。

そのことを遠まわしに伝えたら、佐助君は悪びれる風でもなく、言った。


「あれ、真田の旦那が前もって伝える手筈だったんだけど…何だか悪いね、当日になっちまって。」

「そうなんですか。すみません、じゃあ今回は申し訳ないということで……。」

「アハー、でももう準備はとっくの間に終えてるんだよなぁ…俺様、てっきり旦那がOK貰って来たものとばかり思っちまってたもんだからさ。どうせこの後予定ないんでしょ?だったら右目の…じゃなかった兄貴の方も連れて俺んちに来なよ。」

「えーと……。」

「ここで断ったら真田の旦那、悲しむだろうな。」

「…分かりました、行きます。」


…なんか幸村さんのことを矢面に出されたら断りづらいじゃないか。

私は仕方なく了承すると、ちょうど野球部の部活が終わって帰ってくるところだったお兄ちゃんを捕まえて、教えられた武田邸に向かったのだった。







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