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第十八話 「続・猿飛さんちにて」




――私が意識を取り戻したのは結局、佐助さんの宣告通り、上田に着いてからであった。

目覚めた私を待っていたのは同情したような視線を向ける鎌之介さんだった。

鎌之介さんの話によると、私は旅の疲れで眠ってしまったことになっていたらしい。

強ち嘘ではないのが恨めしい。



 上田に帰ってから2週間、その間に片倉さんから送られた沢山の野菜と苗を畑に植えてみたりと、現代の色々な料理を試してみることが私の仕事になった。

その時に護衛としてついていた十勇士の方々と一緒に色々な料理を試してみる。

乳牛や家畜を実験的に上田城で飼育することもしてみた。

その中でどうしても必要だということでオーブンの代わりになる窯も上田城の敷地内に作っておいた。(今まで左官仕事をやってきたのが役に立ったのか思ったよりすぐ完成した。)

真田十勇士の方々とそのような活動をしているうちに才蔵さんが呟いたのを覚えている。


「まさか人を殺して生きてきた俺達が人を生かすための仕組みを作ることになるとはな……。」


 感慨深げに浸る彼を私は見なかったことにした。

やっぱり佐助さんもそうだけど、何か思うところがあるだろうから。



 乳牛の手配も終えたためにバターを手に入れることが出来た。

そしてサトウキビ等を育てていた薩摩からも少し砂糖をもらうことで実験的にクッキーを作る手筈が整っていた。

バターを作成するため、生乳を入れた瓶を海野さんに振ってもらう。

この作業は正直、私がやるよりもスーパー能力に長けている忍の方々がやった方が早い。

その間にスマホでレシピを検索してある程度の分量を量りながら小麦粉、砂糖をふるう。

そしてある程度形になったバターを砂糖に投入。

さっくり混ぜた後、卵(高かったので、鶏飼育の最中。)を投入し同じく混ぜた後、小麦粉を投入しさっくり混ぜる。

あとは私の荷物の中にあったビニール袋の中に入れ、伸ばした後、奥州から持ってきたという雪の中に埋めて固まるまでしばらく待つ。


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