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第八話 「小田原城にて」




 やっとのことで武田領を抜けて、宿屋に入る。

…徒歩よりも早いが、馬に乗りなれていないので、お尻が痛い。

ちなみに1室だけとってもらうことになった。

だって勿体ないし、先は長い。

そのことを幸村さんと佐助さんに提案すると、幸村さんは喜び、佐助さんは不満げだった。


「久しぶりに名前殿と川の字で寝れるな。」

「…旦那、名前ちゃんも一応女子なんだよ、破廉恥だと思わないの?」

「一応って何ですかね、佐助さん。」

「名前殿は俺の姉君だからいいのだ。それより佐助、どうした?いつもは破廉恥なのに慣れろと言うではないか。」

「あのね、俺様と名前ちゃんは夫婦になるんだよ。だから俺様の主である旦那と一緒に寝るのは……。」

「…今更ではないか。」


…珍しく幸村さんが佐助さんに丸め込まれてないな。

私はそう感心しながらも、尚も言い争う2人を引っ張り、宿屋に入った。

だってもう外は暗い。

冬が近づいているのだろうか、日が落ちるペースが物凄く早い。

結局、その日は幸村さんの希望通り、3人で川の字になって寝た。


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