番外編〜もしももう一度井戸に落ちたのなら2〜


番外編〜もしももう一度井戸に落ちたのなら2〜


 私達を助けてくれた自称「政宗さんの刀」の燭台切さんは本丸?の一室に私達を連れてきていた。

暫くすると、佐助さんも起きてくる。

…一触即発の雰囲気にはなりたくないので、佐助さんを抱きしめるように戦闘態勢に入らないよう抑えてみる。

佐助さんも辺りを見回し、私以上に向こうの世界を見てきていたためか記憶にないところに来ていることを瞬時に判断し、私を守るように身を竦ませた。

…けれど、燭台切さんの顔を見た途端、先程の私と同じような反応をした。


「ねえ、アンタ。竜の旦那の遠縁なの?」

「竜の旦那って?」

「政宗さんの事です。ほら、独眼竜って呼ばれているから。」

「…そんなに僕と政宗公は似ているのかい?」

「ま…少なくとも性格は似ていませんよね。」


 燭台切さんの呟きについ私はツッコミを入れてしまう。

それに気づいた佐助さんにとりあえず集めた情報を全て話してみた。

本丸、主、そして「さにわ」……どれも聴きなれないものばかりだ。

やっぱり井戸を通して異世界に来てしまったのか。

佐助さんは全容を理解すると、身軽に立ち上がった。


「…とりあえず何にしてもその「主」に会えば分かるんじゃない?」

「いや、主には僕から言おう。僕達は今、戦時中でね。身元の知れない君達が勝手に動き回りでもしたら、血の気の多い刀剣達が主を守るため斬りかかってくるかもしれないだろ。」

「ふーん…俄然やる気が出てきたね。いざ、忍び参るってね。」

「佐助さん、忍びしちゃ駄目ですって!郷に入れば郷に従えでしょ!大人しく燭台切さんの話を聞きましょうよ!」


…最近、戦がなく忍んでないからか、何故かやる気の佐助さん。

ここで争い事は避けたい。

懸命に佐助さんを抑えていると、襖が開いた。

――そこにいたのは先程まで会うことを望んでいた「主」その人だった。

驚いたのが――彼女と私の顔が瓜二つだってこと。

彼女の方も吃驚したらしく少し動揺してみせると、傍に控えていた神父のような出で立ちの男に何かを言いつけた。


「長谷部さん、昨日遊んだあのゲームソフトを持ってきてくれませんか。場所は大倶利伽羅さんに聞けば分かります。」

「はっ、主命とあらば。燭台切、この場は任せたぞ。」

「って主!また執務を放ってげえむしてたの!?」

「え、だって執務飽きちゃったし、それに鶴丸さんも大倶利伽羅さんも興味津々だったし……あ、光忠さんすみません。説教なら後で聞きます。」


…なんか見たことあるような光景が。

主に幸村さんとか、幸村さんとか。

佐助さんもデジャヴに陥ったらしく、何とも微妙な表情を浮かべてみせた。

程なくして長谷部さんと呼ばれた人は頼まれたゲームを持ってきた。

…というか滅茶苦茶速くないですか!?

あの人、ローラースケートでも履いているんだろうか。

下らない妄想につい浸っていると、主さんはゲームソフトを見せてくれた。

「戦国BASARA」…間違いなく私達の世界ですね。

二度あることは三度ある。

瞬時に状況を把握した私達は大きな溜息をついてしまった。


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