どうるい

いつも笑っているから
だから傷付けた。

それでも笑っている君に、
「僕がこんなに苦しんでいるのに、いっつも笑ってる君が悪いんだ!」
と鳩尾に蹴りを入れる。

それでも笑っている。
何度も何度も蹴りを入れた。


君の口から
ゴフッと血出たのを見て一瞬で頭が冷え蹴る事を止める。

「…っぁ…。」


こんな行為、ただの逆ギレだって。
それでも笑い続ける君を見て今更ながら懺悔する。

「…ゴメン…ゴメンナサイ…。」

僕の足元で倒れている君の笑いが
止まる。

ガシッと僕の足にしがみつき、立ち上がる動作をただ見ているしかできない。

君の顏が近づいたと思っていたら、一瞬で口の中が血の味に変わる。
「んっ」
舌を絡み上げ息が上手くできず
君の表情も見る事が出来ない位に涙が出た。

どの位経ったのだろう。

僕はダラしなく涙や口から赤色が混じった唾液を流してただただ
立ち尽くす。
その姿を見て君はまた笑った。

「ほら、また、殴れよ、蹴れよ。」

無言で首を振る事しかできない

「何、急に良い子になってるの?今更気付いたの?」

何を言ってるんだろう。違う。分かってたんだ。

「俺もお前も哀れで仕方がない存在だってやっと認めた?」

君は狂ったかの様にボロボロな姿で大笑いする。


『俺達は同類なんだよ』


〔終〕
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