ボクはキミが好きだ
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進藤の話を聞き終わって蔵を出ると、進藤のお祖父さんが出てきた。
「と、塔矢アキラ先生!?」
ボクの顔を見た後にお祖父さんは早く言えと進藤の頭を叩いて、お茶を出しますと家の中に慌しく入っていった。…叩かれて痛くなかっただろうか。
「…おい」
「ん?」
「何でまた撫でるんだよ?」
「さっき叩かれてたから。痛いの痛いの飛んでいけ」
「………」
どうしたんだろうか。突然黙り込んで。ああそうか嬉しいんだねボクにおまじないをしてもらって。本当に進藤は照れ屋だな。
「もう一回する?」
「いらねーよ!バカじゃねーのお前!」
ボクの手を振り払って進藤は家の中に入っていった。二人きりだからそんなに突慳貪にならなくても良いのに。まあそれでこそボクの愛する進藤だ。
「早く来いよ〜」
「今行く」
そのくせこうやって離れているのが嫌ですぐにボクを呼ぶ。全く進藤は我ままだね。でもその我ままを許してしまうボク。こういうのが惚れた弱みって言うんだね。
「さ、先生。どうぞ」
居間にお茶が用意されていた。進藤はコーラを飲んでいる。一年中コーラを飲んでいるんじゃないかってくらい進藤はよくコーラを飲んでいる。健康は大丈夫なんだろうか。
「まさかヒカルが先生を連れてくるとは思いませんでした」
迷惑をかけているでしょう、と謝って来るお祖父さんに慌ててそんなことはないと伝える。
「ボクの方こそ仲良くしていただいています」
「ヒカルは昔から…」
お祖父さんの昔話が始まろうとした瞬間に進藤がやめろよ〜と止めた。一体どんな子だったのだろうか。きっと今と変わらずニコニコ笑っていたんだろうな。
「はぁ…先生みたいな人と結婚してくれたらわしは安心なんじゃが」
「じ、じーちゃん、何言ってんだよ!?」
結婚。進藤と結婚…純白のドレスを身に纏った進藤と誓いのキス。
「お前はそそっかしいからな、先生みたいに落ち着いた人の方が…」
「安心してくださいお祖父さん。進藤はボクが幸せにします」
ガシッとお祖父さんの手を掴む。
「塔矢も何言ってんだよ!?」
「進藤、ボクはキミが好きなんだ」
「お前なぁ…」
「キミの笑った顔は可愛いし泣いてたら抱きしめたくなる。それほどに好きなんだ。進藤、ボクはキミと添い遂げたい」
「かわっ…」
「どんな進藤も可愛いんだ。ボクは毎日キミのことを考えてる」
「と、とうや…」
「今何をしているんだろうとか、この棋譜の何手目でケンカしたなとか、もう寝たんだろうかとか、次はいつ打てるんだろうかとか、それと…」
「もう良いっ!!」
お祖父さんが唖然としてる前で、顔を赤くして怒る進藤を抱きしめた。電車の時と同じ進藤の匂いがボクの鼻を擽った。酔いしれてるとお腹に衝撃がやってきてボクは体勢を崩して後ろに倒れた。
うまく書けないちくしょう。
2014.07.17 21:46