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信じているから

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北斗杯が終わって一週間。ボクはずっと進藤の泣き顔が忘れられない。静かにはらはら涙を流す進藤がキレイだった。ただ永夏に負けて悔しいから、だけじゃない。あくまでボクの直感だけど外れているとは思えない。おそらくsaiが関わっている。でも進藤がいつか話すと言ってくれたから詰め寄ったりはしない。

それよりもボクは、進藤の泣き顔がずっと頭からはなれないんだ。それだけでなく今頃どうしているんだろうとか、棋譜並べをしているとこの手について意見した時に進藤とケンカになったなとか、すぐに進藤との事を思い出して笑ったり。

何故こんなにも進藤のことばかり考えるんだろうと疑問におもったけれど。一週間かけてボクは気づいた。



ボクが進藤に恋をしているからだと。








今日はオフだったけどスケジュール確認のために日本棋院へやって来た。そのあとは碁会場で棋譜並べしたり顔なじみの人たちと打つのも良いし。もしかしたら進藤が顔を出すかもしれないし…。

「お、塔矢!」

「進藤か。今日はどうしたんだ?」

中に入るとロビーに進藤が居た。ボクを見つけて嬉しそうに笑って駆け寄ってくるなんて、進藤、可愛いじゃないか。

「いやぁ〜俺の対局相手が来なくてさ。時間になっても来ないから不戦勝になってヒマになったんだよな」

「じゃあボクと打たないか?」

願っても無い事だ。ボクのオフの日に進藤がヒマになったなんて。今日は本当に運が良い。

「じゃあさ、オレのじーちゃん家に行かね?」

「キミのお祖父さんの家?」

「おう!お前に見せたいモンがあるんだ」

何だろう、ボクに見せたいものって。

「行こうぜ」

「ちょっと待って、スケジュール確認してくるから」

「あ、そっか。じゃあ此処で待ってるよ」

進藤を一人残していくのは気がかりだけど素早く済ませたら大丈夫だろう。待っていてくれ進藤すぐに戻るから。


スケジュール確認が終わってロビーの進藤と電車に乗る。平日の昼ということもありボクたちは何なく隣同士に座った。右隣の進藤から良いにおいがする…ケバケバしい女のどぎつい香水の匂いじゃなくて進藤そのものの匂いというか…。

「塔矢ってば!」

「あ、ああ、どうしたんだ?」

「それはこっちのセリフだって。何回も呼んだのに返事しないし」

「悪かった。それで、何だい?」

「………」

尋ねたら進藤が目を伏せて俯いた。少し悲しそうな、緊張したような、そんな表情をしている。もしかしたら進藤の見せたいものと関係があるんだろうか。

「なあ、お前、ユーレイって信じる?」

「……え?」

ユーレイ?進藤は何を言いだすんだ?

「信じるか?」

「いや…信じてはいない」

「そ、っか…だよなぁ…」

はぁ〜と進藤が肩を落とした。どうしてそんなに落ち込むんだろう。

「…ユーレイは信じてないけど、ボクは進藤を信じているから」

微笑むと、進藤が視線をあげて、そして嬉しそうに笑った。フォロー出来たようだ。進藤はそうやって笑っているほうが似合う。ああやっぱり可愛いな、進藤は。

「じゃあ、オレの話も信じてくれる?」

「もちろんだ」

ボクが進藤を疑うなんて100%ありえない。将来の伴侶を疑うなんて。それは疑わしかったら疑うけれど何もそんなに頭ごなしに否定したりはしない。ボクは進藤が大好きだからね。





初アキヒカ子。女の子って分かる単語がないけどヒカ子です。


2014.07.17 15:02


  

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