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「わしと夫婦になろう」

「待って下さい総大将ぉ〜!」

「ん?」

「今何と言いました!?この女は……人間ですぞ!人と交わる気かあんたー!」

「ちょっと!ぬらりひょん。こんな女のどこがいいのよ!」

「どわっ…そういう問題じゃないぞ雪女」

「雪麗。このひとはお前が思ってるよりよっぽどいい女だぜ」

「し…し…下の名前で呼ばないでよ…今は。この…変態!」

「こりゃ雪女!そこの女!総大将に向かって何てことを」

「殺してやるぅぅぅ!死ねばいいのにぃぃぃ!」

「うわあああカラス天狗が雪だるまにぃぃぃぃ」

うっわほんと原作通りの反応だわ…雪だるまになったカラス天狗が何かかわいい…よし、今の内に触っておこう。

「李緒、何故カラスを撫でておる?」

「かわいくて…」

「……そやつが、か?」

すっごい微妙な顔されてる。ぬらりひょんにだけじゃない。皆に。え、おかしいの?何かダメだった!?
変な沈黙が降りた。するとぬらりひょんがコホンと咳払いをした。

「あんたは特別な存在だ…わしはずっとあんたを見てきたがその思いはいや増すばかりじゃ…平たくいやぁあんたに惚r」

「帰れ」

差し伸ばされかけた手を叩き落とし立ち上がった。

「何故そんなにもわしを拒む?」

「……私には、心底惚れているヤツがいる」

「そいつぁ誰じゃ…?」

「不味い飴を持っている孫に過保護な妖」

「孫がおるのか…?」

私はその問いにあいまいに笑っておいた。嘘はついていない。きっと四百年経ったら分かると思うけれどその時私はもう生きてなどいない。つまりその思いに答える日は来ない。そういう意味だ。

「…じゃが、わしは諦めんぞ」

「勝手にしたら?」

そのまま私は踵を返して広間を出た。このぬらりひょんの求婚の次の夜に、屋敷の者は死に絶え私は大阪城に連れて行かれる。原作ならば答えを聞きに来たぬらりひょんが屋敷の惨状と開花院是光の情報で珱姫を救いに行き、羽衣狐と対峙する。百鬼夜行の主として時期を見計らってではなく一人の男として愛しい人間を救うために。
けれど、私は明確に求婚を断ったから、答えを聞きに来る事は無い。つまり、大阪城に乗り込むのは準備が万全になってから。そしてそれはぬらりひょんが肝を奪われる可能性が幾らかは低くなることに繋がるはずだ。祢祢斬丸は広間で酒を飲んでいるであろうぬらりひょんの隣に置いて来たから持っていてくれるはずだ。

なんて。臆病な私のエゴに過ぎない。


「でも、ぬらりひょんの寿命が縮まないなら万々歳だよね」

そしたら、もしかしたら、鯉伴だって生き延びる可能性が出てくるかもしれないんだから。奴良家三代のために私はやるよ。って言っても言い訳なんだけど。

「卑怯な私を許してね、ぬらりひょん」






2013.02.27 18:58



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