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当然の如く、父親は私を屋敷に監禁。ふざけんな。
だけど仕事の時間帯は抜け出します。替え玉を置いて。その辺の下女を捕まえて服を着せて寝た振りでもしてもらえばはい出来上がり。
まあ私の身の回りの世話をしてる人たちが黙認してくれてるってのもあるんだけど。
そんな生活が4年続いた。今私は14歳だ。


そんなこんなで、今私は散歩をしている。男装して。
女の身だと危ないじゃん?



「…おい」


私は何も見ていない。何も聞こえていない。うん。気のせいだ。

「無視か」

だから何も聞こえないんだってば!
…よ、よしっ。あそこの茶屋に入って団子でも食べよう。

「待て」

「ひっ」

肩を掴まれた。恐る恐る振り返ると不機嫌そうな目がこっちを見てた。いや、怖いんだけど。つか何真昼間から総大将が出歩いてんだよ!?

「わしを無視するとは良い度胸じゃ」

ニヤリと口端が上がってる。え。何。何かフラグ立ってんの、今?

「……」

「何か言わんか」

いや、声で女だってバレるわけにはいかないんだよ。くそ。このイケメンが。

「おい、聞いてるか?」

ああもう誰か助けてよどうにかしてよ。ってか私に関わるな!ただでさえ好きなんだから本気で惚れちゃうじゃん。アンタに私の重い愛情を向けちゃうじゃん!

「お主…声が出ねえのか?」

あ、ナイス。そういう設定にしとこ。男装のときに話した人ってそんな居ないから大丈夫だろ。ってことで頷いておく。

「難儀じゃのう…若ぇのに…」

ジジイかお前!いや確かにもう百歳超えてるんだろうけどさ。
するといきなりぬらりひょんが手を差し出してきた。ので手に持ってた飴を乗せてみた。

「いや、違ぇよ」

とか言いつつ飴はあっと言う間にぬらりひょんの口の中へ消えて行った。違うなら返せよ。

「ほら、手を貸せ」

「?」

「そうじゃ…よし、行くぞ」

私の手を掴んでぬらりひょんは歩き出す。向かった先はさっき私が行こうとしていた茶屋。二人がけの長椅子に隣り合って座る。

「団子を二人分くれ」

そう注文してぬらりひょんはこっちを見て来た。

「…で、何故女子がそんな格好をして出歩いておるのじゃ?」

「ぶーっ!」

最初に出されたお茶を飲んでいた私は盛大に噴出した。え?汚い?バカ不可抗力だこれは。っつーか…

「何で…」

「やっぱりか。身体の線を見りゃ分かるわい」

うそだろ…ばれた事ないぞ…つかそんな会話しないからばれる以前の問題か。

「ううう…」

「声を出さんかったのもそのためじゃろ」

「……変態」

「何故そうなるんじゃ!?」

いやいや、身体の腺って…普通そんなの観察しないよね。だったら変態じゃんか。
あ、お団子きた。

「…えへへ」

一口食べてみたらすっごく美味しかった。モチモチしてて…くう。屋敷で時々食べるのより美味しいんだけど!夢中になって頬張ってたら、ふと視線を感じた。

「ずいぶん美味そうに食べるのう」

視線の元を辿れば、穏やかな瞳とかち合った。フッと微笑んでこちらを見るぬらりひょんがすごくカッコいい。ちょっと、いや、かなりキュンてきた。どうしよう。

「はっはっは!」

「…む」

「顔が赤いぞ?」

「変態」

「まだ言うか」

「変態変態変態…」

「おい、」

「ぬらりひょんの変態」

「!?」

え、何でそんなに驚いた顔してんの?

「…わし、名乗った覚えは無いんじゃが」

ああ、そういう事。…って!しまったやらかしたよいくら前世でアニメ見たり漫画本読んだりしたからって…私のアホー!

「っ失礼」

「待て!」

逃げようとしたら腕を捕まれた。

「お主、何者じゃ?」

「…御免!」

「ぐふっ」

男の急所を蹴らせて頂いた。許してくれ。そして私は金を置いて痛みに悶えているぬらりひょんを放置してさっさと逃走した。






2013.02.27 09:28



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