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きっかけは、些細な事だった。








三成が通っているのは、全国に名を馳せる名門校。

そんな学校の首席である三成は、自身の通う高校にいつも金銭面で援助してくれている大企業会社の若き社長が挨拶に来るため、出迎える嵌めになった。


予定の時間になり、三成は正門に立つ。


雪の舞う真冬日に、何が悲しくて一人校門に立たねばならないのか。

三成は眉間に皺を寄せる。

先生は皆、受験前の生徒に授業を教えている。


偏差値がギリギリの生徒が多く、校内は慌ただしく時間が過ぎて行く毎日。


だが、三成は大学進学ではなく就職活動をしている。

小さい頃に親が死に、国から庇護を受けていた。

学校も奨学生なので、費用は何もかからない。


だが、これから先はそうもいっていられない。


だから、就職を決めたのだが。


なかなか良い就職先が見つからないのだ。






頭を悩ませ、三成がため息を着いた時だった。


目の前に高級車が止まり、中から人が降りて来た。


「ここか…下がれ」


車から降りた男がそう言うと、車が発進した。


三成は目の前の男を見上げる。

整った秀麗なる顔に、迂闊にも見惚れてしまっていた。


「…お前が三成か?」

「ああ…」


この三成の態度に、礼儀も何もあったものでもない。

だが、男は大して気にした様子もなく、三成に握手を求めてきた。

大人しく手をを握る。


「私は曹丕。つい先日社長になった。今日は頼む」


「ああ、こちらこそ」



二人は手を離し、特に話す事無く校内へ入って行った。




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