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ふぁーすと



三成の肩に自身の上着を掛け、抱きしめる。

静かに涙を流す彼に対し、言い知れぬ罪悪感が込み上げる。


本来は、こんなことをするつもりは無かった。

ただ、会いたかった。
声が聞きたかった。

それだけだったはずなのに。


どうやら自分は思った以上に彼に魅せられてしまっているらしい。



「すまない。泣くな」


泣いている相手に、どうしたらよいのかなどと曹丕は知らない。

何と声を掛ければいいのか。



さてどうしたものかと上を見た瞬間、胸に軽く衝撃が来た。

どうやら三成が拳をたたき付けたらしい。


言葉を話す気配はない。



いまだ顔を伏せている三成の頭を、曹丕はやんわりと撫でる。


あんなことをしたのに、何故三成は曹丕を拒絶しないのか。


自身に掛かる重さを感じながら、曹丕は疑問符を浮かべる。


自惚れてもいいのか?






やがて三成が体を起こし、服を赤くなった目で真っ直ぐに曹丕を見る。


「…お前には、婚約者がいるだろう」

「甄とは終わらせた」


突然の質問に答えてやれば、三成は目を見開いた。

多少は自惚れても良いらしい。


「何故…」

「私は三成が欲しいのでな」

不敵に笑い、三成の手を取って口づけをする。

瞬時、三成の顔に赤みが射した。


「お前はどうだ」


ゆっくりと尋ねる。

曹丕の膝の上で、三成はしばらく視線をさ迷わせる。


「俺は……」


その先を聞く前に、曹丕は三成の口を塞いだ。

触れるだけのキス。

直ぐに顔を離すと、顔を赤くしたまま不満そうな三成。

そんな彼が愛しくて、頭を胸に引き寄せ抱きしめた。


「自惚れてもいいか?」

「…ふん」


曹丕のその言葉に、三成が抵抗することはなかった。


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