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このお話は裏となります












あれから、三成は何故か毎週末に曹丕と会うようになっていた。

半強制的に就職先が決まったため、当然週末は暇。

それを狙ってか、曹丕は電話で三成を呼び出す。


あるときは喫茶店、あるときは映画館、あるときは書店などその度ごとに場所は異なる。


今回は、何故か曹丕の会社に来ていた。


いざ来てみたのだが、中に入れず右往左往しているのが現状。


「何故俺が…」

悪態をつくものの、律儀に従う自分も自分だ。

三成はため息を着いた。

空を見て、また息を吐く。

今日くらいなら帰ってもよいだろうと踵を返した瞬間、後ろから手を掴まれた。

誰なのか。

もはや三成にとって、その問いは愚問である。


「なかなか来ないと思えば、こんな場所にいたのか」


曹丕その人。

顔だけ後ろを向き、三成は自身の手を掴んでいる男を見上げる。


「帰るのか?」

「いや」


薄く笑う曹丕に、首を振ってみせる。

三成が向き合ってようやく、手が離れる。


「私に着いて来い」


さっと社内に向かう曹丕。

その後ろ姿に、三成はどうして自分に会いたがるのかと疑問を投げ掛けたくなる。


正直、今日は―――いや、しばらく会いたくはなかった、というのが三成の本音である。


理由は簡単で、難しい。



「…三成」


数歩先で、曹丕は立ち止まって振り返っていた。



何故そんなに優しい。


「今行く」


三成は歩みを早めた。



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