りえそうな未来02

「って、なったら面白いと思いませんか?」
「「「いや、おかしいだろ」」」
 窓から見える空也と四季の姿を見ながらそう言った月子に、保健室にいた三人は思わずつっこんだ。
「そもそもなんでみー助が人間になってるの?」
「だって、あんなに仲良さ気じゃないですか」
 月子が指差した先には、木陰で眠る空也の上で気持ちよさそうに休んでる一匹の猫がいた。もちろん空也の横には同じように目を閉じてる四季の姿もある。
「水嶋先生、時代は擬人化を求めているんですよっ!!」
「いや、そういう問題じゃなくて」
 目をらんらんと輝かせながら話す月子に郁はたじたじだった。
「へー、あいつら付き合ってるのか」
 そんな郁の横で、陽日は興味津々といった様に窓の外を眺めていた。
「ちょっ、陽日先生?今のは全部月子ちゃんの妄想ですから。ねぇ、琥太にぃも何か言ってよ」
 勝手に納得しかける陽日に慌てて郁は否定すると、一人傍観者を決め込んでいた星月に視線を向けた。
「……だろ」
「ん?何て言ったの、琥太にぃ?」
 窓から見える光景に目を細めながら小さく呟かれた星月の声に郁が首を傾げる。
「なんだなんだ?琥太郎先生、どーかしたのか?」
「どうしたんですか?星月先生」
 陽日と月子の視線もまた星月に集まる。
「はぁ……だから、な」
 自分の言葉を一区切りした星月は大きく息を吐きながら続ける。

「神崎も神楽坂も”男”だろうが」

「……っ!!」
 星月の言葉に最初に反応したのは陽日だった。
 顔を真っ赤にさせ口をわなわなと震わせる。
「直獅、大丈夫かー?」
 ひらひらと目の前で手を振っていると、突然陽日は叫んだ。
「あーっ!!忘れてたっ!!」
「忘れるって……確かに空也君は可愛らしいけど、男の制服を着てるじゃないですか」
 あたふたとする陽日に呆れたように郁は返す。
「にしても、夜久と郁はえらく冷静だな」
 星月が言った。
「琥太にぃは分かってないな」
「星月先生は分かってないですよっ!!」
 月子と郁の声が重なった。
 二人は顔を見合わせると、星月の方へと向き直る。
 そして、

「「今の世の中、恋愛に性別なんて関係ない(です)よっ!!」

 にこやかにそう言い切った二人の笑顔はとても爽やかだったと、後に陽日は語った。
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