溶けかけた蝋燭をひとつ



ハマ・イラの小説みたいな
気怠さを降らせた朝の
卓に並んだ嘗ての生命に
君はフォークを立てる

スープの波紋 その犬は賢すぎた。
蒙昧な白昼夢の断章を笑い飛ばすんだ
誰もが君を図りたがった
飾り立てるチープな言葉に目眩がした

揺れる影に躓く 優しい殺意
緩やかに抜けていく体温を
まだ信じている どんなに小さくても
その希望に縋るしか 僕達には無かった

拡散してゆく波紋は 血液の流れを想起させ
小さな掌の温かさは あまりに残酷すぎた
繰り返し呼ぶ筈だった名前は
君の嗚咽と犬の遠吠えに 滲んでいく

揺れる影に躓く 優しい殺意
緩やかに近づく僕達の夢
寝台で最後の”おやすみ”を囁く時
その蝋燭に火を灯そう

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彼等はきっと幸せ








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