(君の匂い、)



※甘め
※ちょいギャグ










今日は梅雨入り間近で少し蒸し暑かった。そのせいで嫌な湿気が空気中をむぉんと漂っているのがなんとなく分かる。
わずかに滲んだ汗のせいでぺたりと背中に張り付くワイシャツが鬱陶しい。
いっそ脱いでしまいたいくらいだが生憎ここは(諸事情により)旧男子寮にあるなまえの部屋で、いくら彼氏だからと言ってもそう易々と彼女の前でワイシャツを脱ぐのは如何なもんかと思うわけで…。


ネクタイを緩めてボタンを三つ程開けるだけにした。



それが悪かったんやろな……。




「萌っっ!!!」
「ぐはっ!?」



二つのグラスに麦茶を注いで持ってきてくれたなまえが戻ってきた。テーブルに置いて俺の方を見て目を見開いたかと思ったら俺に抱きついてきよった。


いや、タックルに近かったと思う。



「な、なにしとんねん!?」
「扇情的な格好をした竜士に興奮を抑えきれなかったのであります!」
「扇情的て、おまっ…!阿呆か?!」



何を突拍子もないこと言い出しとんねん、コイツは!
挙句、なまえは俺の首筋に顔をうずめてきよった。


「なっ、ヤメぇや!汗臭いだけやぞ?!」
「そんなことありませんーっ。良い匂いだよ…」


そう言って、顔をうずめたままあろうことか深呼吸をするなまえ。
ほんまに、やめてくれ。
汗の匂いなんて良い匂いなわけないやろ。


俺は一つ、溜め息を吐いた。
すると、俺の首に回っているなまえの腕に少し力が入る。


「困った、竜士…」
「なんや。どないしたん?」
「竜士の匂い嗅いでたら、」
「おん」


「むらむらしてきた…」






(…………………、)







「……はぁ!?」
「だって、竜士の汗ってなんだか色っぽい匂いなんだもんっ!」
「色っぽい匂いてなんやそれ?!」



この阿呆、とんだ爆弾落としよった。


俺の首にうもれて深呼吸をしとったなまえが顔をあげた。
その顔の近さに心臓が跳ねる。
長い睫毛とか、ぽってりとしたうすピンクの唇とか、Tシャツの襟から見える胸元とか、さっきの発言とか……、こっちまでそない気ぃにさせられてしまいそないなる。



「竜士……そのワイシャツ、私が脱がせてあげるよ!」
「……?!ちょお、待ちぃ!」
「えいっ!」




【と、そのまま押し倒された】

(あー、もう。)
(好きにしてくれ)




久しぶりに書いたからリハビリみたいな感じです。
くっそー…、私も坊をくんかくんかスーハースーハーしたいお!