(それは本当になんの脈絡もなく訪れる)



※ほのぼの











朝の下駄箱、ローとペンギンは不在。
まぁ、単に俺が寝坊して置いてけぼりを食らっただけなんだけどさ。
特に焦りもせずに靴を下駄箱にしまっていたら後ろから声をかけられた。



「おはよー、シャチぃ」
「おー、なまえ。おは…よ」
「なにそのトーンダウン」


なまえが髪をポニーテールにしてきた。なまえの髪型はおろしてるのがデフォルトだから、いつもと違う髪型に少し驚いて思考が停止した。

髪が肩より下くらいの長さだからだろう。名前の由来になっている馬の尻尾みたいじゃなくて、こー…なんつーか、ふわっとしてる。


「シャチ寝坊?だっさー」
「なまえだってそうだろ?」
「私はこのじっとりした梅雨の天気が嫌いなんですー。実は梅雨時は外出できない病なんだ」
「あー、それはお気の毒に」


(ようは寝坊だろ)


「なんで、ポニーテールなんだよ」


廊下には授業をする教師の声やカッカッって黒板にチョークで字を書いていく音、それから私語に励む学生たちの声をBGMにして俺たちの声が響いてる。


「この時期ってじめじめするでしょ?そうすると髪の毛がうっとうしいのよ。べたべたひっついて」
「切ればいーじゃん」
「それはやだっ」
「なんでよ?」
「だって、色々髪型いじりたい」
「あー。短いとできねぇもんな」
「うん」


朝には似つかわしくない、曇り空特有の薄暗い光が廊下に差し込む。
歩くたびにゆらゆらとゆれるなまえの髪。
普段目にすることのない日焼けしてない白い首、それから、うなじ。


こくり、と、喉がなった。


どうしよう。
なに、急に意識してんだ俺。
うなじ見えるだけでこんなに色っぽくなるもんなのか?


「どったのシャチ。朝から変だよ?」
「え、あ、いやぁ、その…」

なんか、すっげードキドキしてる。
隣にいるのはなまえなのに、いつものなまえじゃないみたいだ。
なんか、そう。
今の俺の中でなまえに対する何かが少しずつ変わってるのが分かる。分かるけど、今彼女に素直に言うことがあるとすれば、



「似合ってる、それ」
「へ?」
「ポニーテール。似合ってんじゃん」



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(頬を染めて恥ずかしそうに)
(ありがとうって言う君が、)
(とても可愛いと思いました)



データ吹っ飛ばした馬鹿な私を許してね、シャチ!
最初書いてたやつと内容のピュア度が半端じゃなく変わってしまった(笑)