短編小説 | ナノ
「名前、」



雅治に名前を呼ばれた。
そしたら私の体は決まってきゅうっと熱くなる。煩い心臓はもっと煩くなって、このまま雅治の広げてる腕の中へいったら、聞かれちゃうんじゃないかってくらいに、好きで好きで仕方ない。



「今日も甘えん坊さんやのう」

「…ん」

「お前さん、俺ん中でよしよしされよる時は、猫みたいじゃき」

「………みゃー」

「プリッ」





そんなじゃれあいを幾度と繰り返してきたけど、これっぽっちも飽きない。雅治の腕の中での他愛ない会話が幸せで、私は今日も頭がくらくらする。



「よっと」

「!え、まさは…」

「襲ったりせんけ安心しんしゃい」



そう言うと雅治は私をお姫様抱っこしてベッドへ寝かせた。雅治の優しい匂いが辺りに広がる。そうやって私はどんどんどんどん雅治にはまっていくんだ。
そんなことを思っていたら、雅治は私の横で寝転んだ。





「…髪、伸びたか?」

「んー伸びたかも、てかそれこの前も言ってたよ、雅治」

「そうじゃったかのー。あー、名前のええ匂いがする」

「え、このベッド雅治のいい匂いでいっぱいなのに?」

「ここでお前さんのこと何回抱いたと思うとるんじゃ」

「…ま、まさはるっ///」



雅治はそんな恥ずかしいセリフもさらっと言ってのける。
それに私は弱いの知ってて言ってくるもんだから、コート上だけじゃなくて、私の前でも詐欺師なんだと思う。


そんなこと思ってたら雅治がきゅっと私の手を握ってきた。





「なぁ、俺今ものすごく甘えたいんじゃけど」

「ん、いいよ、よしよし」



それから私はもう片方の手で雅治の髪をなでる。



「こんまま寝てしまいそうじゃき」

「…一緒に寝る?」

「ん、そん前にコレ、どうにかしてくれんか?」





え、と思った瞬間、言葉の意味がわかった。雅治のアレが私の腰にあたっていたから。否、性格にはあてられていたからか。



「え、ちょ、雅治っ、襲わないって言っ…」
「それは一方的にって意味じゃろ、…なぁ、抱いてもいいか?」

「…もう…」


私が雅治のそういうところに弱いの知ってて…




「ちゅっ」

言葉に出すのが恥ずかしくて
私は雅治の口にキスをする。




「んじゃ、いただきます」



その雅治の合図で、私達は深い口づけを交わした。


















いただきます。







(もっといっぱい愛してくれて大丈夫)









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