*着信音*




『もしもし』

「翼」

『……………』

「なんか携帯閉じようとしてる翼が見える」

『……気のせいだよ』



ガチャ

ツー、ツー、ツー



*着信音*





『何』

「あー俺だよ。俺、俺。俺だよー俺さー」


ガチャ

ツー、ツー、ツー




*着信音*




『何!?』

「なんできるんだよ」

『オレオレ詐欺ならお断りしておりますが?』

「じゃ、僕さー」

『キモい』

「…………」

『何で電話なんかしてくんの』

「別に」

『何、だったら切るからね』

「駄目」

『だったら何の用!?』

「お前の声が聞きたかったから」

『バカなのアンタ』

「今赤くなってる?」

『なってねぇわボケ』

「照れるなよ」

『照れてねぇよ。』

「翼って電話だと声変わるな」

『いきなり何』

「さっきでた時もちょっと声あげてたな」

『それはない』

「もしもし?(裏声)みたいな」

『キモイから止めて』

「あ。もしもし?(裏声)みたいな感じか」

『わかんねーよ違いが。』

「もしもし(裏声)か。」

『だからわかんねーてば!』

「怒るなよ」

『怒らせるなよ!』

「翼疲れてる?」

『憑かれてる。不吉な黒猫に』

「褒めるな。照れる」

『何だろう。真顔で照れるアンタの顔が見えるんだよね。やっぱ疲れてるのか』

「だな」

『だな、じゃねーよ』

「ツッコミのテンションが低いな。やっぱ疲れてるだろ。」

『やっぱ?さっき冷蔵庫開けてただいまーって言っちゃったんだけど』

「…………(笑いを堪えてる)」

『笑うな』

「わりぃ。なんで疲れてるんだ?」

『課題とか』

「数学の課題写させて」

『疲れてやったって分かった直後にか?お前どんな神経してんだよ』

「翼に電話したてたからできなかった」

『私のせいにすんなよ』

「してねぇよ」

『してるじゃん。それよりさ、アンタどこから私の番号手に入れたの』

「………」

『面倒な事になるからと思ってアンタには絶対に渡してなかったんだけど?』

「……気にすんな」

『ちょっと一旦切るね』

「110番は押すなよ」

『何で分かるんだよ通報しようとしたって』

「お前の語尾が〜ね、になると大体分かる」

『うっさいね』

「わざとすんなね」

『キモイね』

「なんか同意を誘うような言葉だね」

『キモイ!』

「そこでマジか」

『ねぇ、もう切る。寝る』

「おやすみー」

『なんかあっさり』

「まだ話すか?」

『いやだ』

「ちょっとまってろ」

『聞けよ』


ガチャ

ツー、ツー、ツー



「お待たせ」(窓から登場)

『帰れ』













オワリ チャンチャン



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