「ここは暗いな。目を瞑っていてもよくわかる。うすら寒いことも。今は冬の手前だからな。私は凛子。凛子だ。あなたのことは知らないし、あなたも私のことを知らないはずだ。私はあなたの弟の、高校の同級生だ。ここに来たのは、まあ、遊びにな。やりたいと思ってたゲームをあいつが持ってたから無理やりプレイしに来た。言っておくが恋人とかじゃないぞ。あいつは同い年から見ても弟感が抜けていない。青二才だ。

 そんなことはどうでもいい。私は溜め息を聴いたんだ。いや、感じた。溜め息をつくほどの虚しさをな。二階へ上がってみてもいいかと弟に聞いたら、躊躇うような目を見せてから頷いた。この家で身内に不幸があったというのはささやかながら耳にしていたけれど、今まさにそれを体現している存在を見つけてしまった。溜め息をついていたのはあなただね。虚無を感じていたのは、消えたいと願っているのはあなただ。

なあ、あなたは第六感を信じるか。私は、あなたの存在を認めている」



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