純はモテる。
男からも女からも。
これで何人目やろうか。

うちは甘い匂いが苦手やから今まで純にチョコを渡したことがなかった。
でも高校に上がって初めてのバレンタインデー。
そろそろ頑張って手作りチョコでも作ってみようっと昨日の夜甘い匂いと格闘しながら、なんとか作る事ができた。
純みたいにうまくはないけど愛は沢山詰めた、まぁ内緒やけど。
けど、今日学校に純が着くなり何人もの子に話があると呼ばれて行った。
そして純は帰ってくる度に本命チョコ貰ったとニコニコして報告する。3時間目で17人もだ。
うちも何回か本命チョコを渡されたけど純がいるからと全て断わった。なのに純は貰ったと笑うのだ。…もうあげない。

そして帰り道。
純と並んで歩く、けどうちはムカついて喋らない。

『郁ちゃんどしたの?機嫌悪いけど……ねぇ?』

上から覗き込んで来る。
それでも、うちは無視を決め込む。

『なぁ郁ちゃん?』

『何に怒ってるかだけ言ってよ?』

『…郁ちゃん愛してるよ』

もう我慢の限界だ。
言ってやる!

『純はモテモテなんやからうちじゃなくて本命の人と帰ったらいいやん!』

うちの棘のある言葉に純は目を大きく開け驚いた顔をしたが直ぐに笑顔になり手と手を合わせごめんのポーズをした。

『ごめん郁ちゃん!あれ全部嘘なんだよ。渡されたけど全部郁ちゃんがいるからって断わったの。
だから本命は郁だけだよ。』

えっ…
体温があがり顔が赤くなるのを感じた。

『じゃ、じゃあ何で貰ったとか言えんよ!』
『あれは郁ちゃんの困った顔が見るの楽しかったから…つい』

そういえば純はドがついたSやった。もう悩んだうちがバカみたいやない。

『次やったら許さへんから………これ罰としてあげるわ』

鞄からチョコを取り出して純に突き出す。

『ごめん!…….えっ郁ちゃん甘い匂い苦手じゃなかったけ?…貰っていいん?』

早く受け取りたくてウズウズしてる顔だ。
純の事思ったら甘い匂いなんて大丈夫やったわ。

『気が向いたから作っただけや……早よ受け取り。』

この気持ちは内緒。
バレたら恥ずかしくて仕方ないもん。

『ありがとうっ』

純は今までにないくらいの眩しい笑顔をした。
そうこの笑顔が見たかったんや。
この気持ちも内緒。

『じゃ、じゃあねっ』

赤くなる顔を隠す為に
別れ道に差し掛かったのをいい事に走り出した。
たぶん純は気付いてる。
顔の赤さも、うちの気持ちも。
けど渡せてよかった。


おまけ

『郁ちゃんの愛のチョコ嬉しいなぁ……いただきます!』

四角い箱にかかった赤のリボンを丁寧に解く。
すると中からハート型のチョコが沢山出て来た。
嬉しくなってニヤニヤが止まらない。

口に入れたチョコは凄まじい苦さが広がる。
これは焦がしちゃってる。
けど…

『愛の味がする。』

勿論完食した。

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あとがき
郁は毎回走ってる気がする。
もっと甘々にしたかった。
郁のツンデレが出し切れてない
純が純ではない気がするっと
色んな反省がありますが
これからも純郁は幸せです。






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