鬼ごっこ4

+++++
「九尾の来襲の後、
一人ぼっちになった自分は帰るのが嫌で、夜遅くまで公園でよく過ごしてたんです。
いつもは暗くなると渋々帰ったのに その日に限って木の上にいた暗部を見つけて、鬼ごっこに付き合ってもらって。
今考えるととんでもない事ですけど その時は暗部なんて存在がよく分かってなくかったんです。
確か、『鬼ごっこに勝ったらまた遊んでくれ』とでも言ったんでしょう。
必死に暗くなっても追い続けて 相手も早く終わらせたかったのか 暗部なのにさっさと捕まって。
嬉しい反面、もう終わりなのかと落ち込んでいたら 優しく頭を撫でられたんです。
『また今度会ったら鬼ごっこしてあげるから。そのかわりオレが鬼で、捕まったら何でもいうこと聞いてね』
とみたいなことをいわれて。
あれ以来、その暗部とは会ってないんです。
それでも 頭を撫でられた時の暖かさや、見下ろされた時の髪の灰色とかが妙に忘れられないんですよ。


+++++
話の間、カカシはイルカの左手を優しく握っていた。
「あっ、何だか長々とすみません。」
「‥‥‥という事は、会った時点で鬼ごっこ開始ですか」
言われた事の意味がわからず、カカシの方に顔を向けると いきなり握られていた手を引かれて
イルカは気が付くと、カカシとキスをしていた。

「ん゛〜〜」
舌と一緒に何か、錠剤のような物が押し込まれ 苦しさの所為でそれを飲み込んでしまった。
「な、何を。」
「せっかく捕まえたんだから逃がさないように細工をしただけですよ。何でもいうこときくんでしたよね」

イルカを見下ろすカカシの顔は
酷く綺麗で恐ろしい笑みをこぼしていた。
カカシの前髪は俯いた為に、光りが上手く当たらず銀色から灰色になっている様に見える。
「…あの、時っの」
呂律が思うように回らない。
先程飲み込まされた錠剤は、痺れ薬か何かだったのか。
今更気付いても、呂律どころか体までも動かせなくなっていた。
「そうですよ。覚えていてくれて嬉しいな〜。」

はたから見れば、酔っ払ったイルカに肩を貸すように 彼を担いだカカシはそのまま会計を済ませた。

「あの時の続きは、俺の家でしましょーね♪」

その日、カカシに長年に渡り募らせた思いを注ぎ込まれたと同時に イルカの大切な何かが失われたのは言うまでもない。


 ーendー

2010/8/8 黒月カイム
- 7 -

[*<<] | [>>#]
ページ:
[戻る]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -