好きでしたよ。

イルカはアカデミーの裏で泣いていた。
もちろん、泣いている姿を生徒に見せるわけにはいかないので 生徒でさえ滅多に来ない場所で声を殺しながらだ。

原因はイルカの思い人、はたけカカシであった。
つい、先程イルカはその思い人へ告白をしたのだ。ラブレター等の小細工は使わず、相手に直接である。
『カカシ先生。俺、・・・ずっとカカシ先生のコト、好きだったんです!』
 イルカは先程の自分の言葉を思い出しながら、きっとみっともない程赤い顔をしていたんだろう。と、自嘲した。

『俺は今まで、友人として イルカ先生のコトが好きでしたよ。・・・でも、』
自分の言葉に続いて相手の答えも思い出す。あの『でも』の後には 自分への拒絶の言葉が並べられたに違いない。
それを聞くのは今の自分には耐えられないと考え、カカシの返答を全て聞かないうちに その場から逃げてしまったのだ。

思い出した事で、また涙が溢れだし頬を伝っていく。
「何やってんだよ。俺」
玉砕覚悟で何があっても泣かないと決めていたのに いざ断られると涙を止められない。

「イルカ先生?」
不意に聞こえてきた声は 聞き覚えのある、いや忘れたくても忘れられない人のものだった。
いつの間にかカカシはすぐ目の前にいた。
「カカ「なんで急にいなくなるんですかっ!」
嗚呼、途中で逃げてしまったから カカシさんは告白を悪戯や嫌がらせだと思って怒ってるんだな。
険しい表情にそう思って、濡れた顔を伏せてカカシの顔を見ないようにした。
「・・・、もう一度聞き「忘れて下さい。」
今度はイルカが言葉を遮った。
本当は忘れてほしいなんて微塵も思ってないけれど、ふられたうえに そんな事まで伝えられる訳もなく、
言葉の代わりに涙が溢れる。
「泣いてるの?イルカ先生。」
両肩を掴み覗き込むようにしてイルカの表情を確かめる。
「フッ、たなら 触んっな。」
これ以上、優しくされるのは今の自分にとっては酷だった。
せめて泣き声をあげないようにと、目を固く閉じ下唇を噛んでいたイルカの頬に 柔らかいものが押し当てられた。

「へっ!?」
身を強張らせて目を開けば、バランスの良い端正な目鼻立ちが見て取れる。
それがカカシの素顔であることに、すぐには気が付かなかった。
「変な言い回しをした俺も悪いですけど、ちゃんと聞かないイルカ先生も悪いんですよ。」
唇を離してからカカシがそう言った時点で やっとイルカは今までされていた行為に赤面した。

「以前は友人として好きでしたよ。でも今は、大好きなんです。
恋愛とか、そういう意味で愛してるんです。」
「・・・うそ。」
相手の発言が信じられず、嘘だと思い込もうとしたが
「嘘じゃありません。」
と、されたキスにイルカの顔は赤く、頭の中は真っ白になった。

その後 カカシはイルカが納得しても甘い言葉とキスを与え続けましたとさ。


ーendー
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終わり方がアッサリしすぎです。
言い回しでの勘違いを書きたかったのですが見事に玉砕しました。

2010/6/22 黒月カイム
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