お題 | ナノ


  食べちゃうぞ


※食人描写注意
※タイトル詐欺
※全体的に気持ち悪いので大丈夫な方のみどうぞ。


私は彼に惚れていた。
しかし、私はそういったものを『捕食対象』としてみてしまう、所謂ハンニバルという特殊な性癖がある。

彼。渚カヲルというものは、どこか浮き立った存在だった。人間じゃないような。
そんな彼に酷く食欲をそそられた。お腹を鳴らしながら、彼にいつも近づいていた。
肌は透き通っていて歯を立てたらきっとその身体からは甘くて口の中を刺激していきそうなサイダーのようなものが溢れ出るかもしれない。
赤い眼球は口内にいれれば、私を身体の芯から熱くしそうなものかもしれない。
すべて、すべて食べてしまいたい、ってずっとずっと思ってた。よだれが出そうになりながら。


「そんなに美味しそうかい?僕が。」

「っ!」


そんな言葉が上から降ってきて、今自分がどんな状態にあるか一瞬わからなかった。
彼に組み敷かれている、なんて認識した頃になってやっと今とても危険な状況なのだと思った。
この状態はどうにだって出来る。殺すことだって、食べることだって。


「抵抗しても無駄だよ。男と女の力の差があるからね。ああ、でも苗字さんの命をどうとはしないよ。大丈夫。」

「……信じられると思うの?」


じゃあ一体この体勢はどうしてなのだろうか。
私の両手首は彼の右手に一纏めにされて、まるで私が万歳をしているように上に挙げられている。
ああ、もしかして彼は生命の危機を感じたから私を拘束したのかもしれない。


「そうだね……、じゃあ僕の指を噛んでいていいよ。僕は抵抗をしない。なんなら噛みちぎって咀嚼してもいい。君の栄養になるのなら僕は嬉しいよ。」


彼は私の口内に左手の指、多分小指だろう、その指を入れグッと喉の奥まで押し込んできた。
喉まできた指に生理的にえづき、喉は押し戻そうとする。
しかし、その指はグイグイを奥を目指す。中々戻らない指に苦しく涙が流れる。

小指、というのが彼のずるいところだ。この指ならなくなっても支障はないと思ったからだろう。


「小指だと、赤い糸だろうけれどしょうがないよね。でも、苗字さんとの結婚指輪をはめるための指は残しておくよ。さあ、お食べ。ただ、その指を噛んだら、僕はその瞬間に君を食べようと思う。もちろん僕は人体には興味はないよ。」

「えっ、おえ……っ」

「食べる、のは性的に、と思って欲しい。さあ、どうする?」


赤い瞳がスっと細められる。
冷ややかなその目が私の身体をなぞるように見たあと私の瞳を捉える。

私は、ぐっと歯に力をいれた。
――その瞳も後で食べてやる。


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