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  キリ番15000(夢見様)……性格の悪い彼は年下の彼:続きの物語後/甘


「フィフスチルドレンの護衛兼監視役?!ちょ、え、ちょっと待ってくださいよ!なんで私が!?」

「なんでもフィフスチルドレンから直接お願いしてきたらしいぞ。あの飄々とした彼が上司に頭下げてな。お上さんからも何か言われたらしくて、どうも逆らえないらしいんだ。」

「ていうかなんで総務局なんですか……そういったのは管理局とかにさせればいいじゃないですか……。ピンポイントで三課の私って……。」


軽くめまいを覚える。
まあ、たしかに彼をいいなとは思ってたよ。
たまに食事時間がかぶるとあっちから話しかけてくれたり(多少性格が悪いけれど目を瞑る)、
なんせあの容姿だ。あのかっこよさには女の心をもっていれば過ちを犯しかねない。


「あ!そもそも私と彼は男女ですよ!何があるかはわかりませんよ!」

「それは大丈夫だ。彼からの言伝で『シンジくん以外見えていませんから』だとさ。」

「畜生!男子に負けた!」

「まー、もう決定事項なんだ。腹を決めろ。」

「イエッサー……。」


そうして始まったこの暮らしなんだけれど、実はなんだか不思議と居心地がよくて落ち着いている。まるで初めてじゃないかのような感覚だ。


「ここにあるものは好きに使ってください。棚はそこの一段目と二段目は僕が使いますので三段目、四段目を使ってください。」

「流石に私も一段目くらい届くわよ?」

「バレたか……。まあ、いいじゃないですか、一段目だと収納するとき疲れるでしょう?」

「ま、そうね。ありがと。ところで寝るときは?」

「貴方はベッドで僕がソファです。これはもう昔から決まっていたことですから逆らえないよ。」

「酷い運命が決まっていたものだ!」


たまにこういう事を言ってくるんだ、この渚カヲルは。
運命やら決まっていたことやら。さらっというもんだからこっちは心臓に悪い。
まるで前世が恋人かのような言い方をするときもあるのだ。

てきぱきと私への指示や部屋の説明などをしていく。
しかも私の荷物を片付けながら。アンタは私の母親か。


「ね、渚くん……。」

「カヲル、でいいですよ。僕も名前さんとお呼びしますので。」

「えっと、じゃあ、カヲルくん。」

「……はい。」


片付けをしていた手を止め、私に顔だけを向けて返事をした。
その顔はどこか寂しそうで、それでいて少し嬉しそうな顔をしていた。

不意に見たそんな表情の攻撃をうけ、私の心臓はどくんと大きくはねる。
なんて顔をするんだ……!


「休憩しよう?もうこんな時間だし、最悪明日の準備の分だけ外に出しておけばいいんだからさ。」

「もうバテたのかい?しょうがないヒトですね……じゃあコーヒーを……、いや疲れた身体には甘いものがいいですね。紅茶、入れましょうか。お茶菓子もありますよ。砂糖は入れて大丈夫でしたよね?」

「うん!ありがと!」


今ちらっと見えたんだけれど、カヲルくんが手に持っていたのは私のアルバムじゃなかった?それを見ていたのか、まさか。
カヲルくんも片付けの際に、懐かしいものをみたらつい見ちゃうタイプなのね。

だがしかしそれは私の私物だ。中にはちょっと人には見られたくない写真もあるのだ。
もしそれを勝手に見ていたのならば私は君を怒らなければならないぞ?

けれど、私はお菓子に夢中になってすっかり忘れてしまっていた。







彼女は僕と一緒にいた一切、かけらひとつなく記憶をなくしているようだった。しかたがない、といえばそうだろう。けれど、僕の子供の部分が割り切れないと叫んでいるようだった。

ならば、また近くにおいて、そして彼女を更に好きになればいいのだ。


「……イチから、か。」
「なにかいった?」


不思議そうに僕の顔色を伺う顔は前と同じ彼女の顔で。

――君が僕を望んで世界に残したように
――僕も君を望むからここにいてほしい

なんて愛の言葉を囁けたら、なんと楽なのだろうか。
彼女は彼女であり彼女ではない。


「少し、手を繋いでいいかい?」

「へ?い、いきなり何を……!」


答えも聞かず、名前さんの机の上に置いてあった右の指に僕の指をトンッと小さくくっつけると、
少し驚いたのか指が少しだけ空中へと逃げる。

僕は逃さないよう、彼女の指を追いかけ指と指を交差させてまた机へと引き戻す。

名前さんの顔へと視線を戻すと彼女の頬は赤みを帯び、何を言っていいかわからないかのように口が開いていた。


「ふ、くく……、酷い顔。」

「失礼な!!元からこんな顔だった!」


僕をまだ異性、そして恋愛対象だと思ってくれているんだね。
今度も僕は、君に好きだと言わせてみせるから。

だから僕の気持ちは今は内緒です。



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キリ番15000 夢見様リクエスト
性格(略)の続きの物語の続きでした。
毎回思うけれど、絶対長いよな、このタイトル。

1回目の特異点の彼は好かれる世界を歩みましたが、
2回目の特異点の彼はヒトを愛す世界を歩んでいきます。
さて、番外編が少しでも増えたらいいな。

夢見様、キリ番報告とリクエストありがとうございました!
この連載を大好きと言ってくださってありがとうございます!
完結したものがまだまだ好かれるって事は本当に管理人としては嬉しい事なのです。
これからも生暖かく見守ってやってください(笑)




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