ごちゃごちゃ | ナノ


  キリ番1500(なぎこ様)……貞カヲ/学パロ/甘


「プリント、重くない?半分もつよ。」


すっと後ろから伸びてきた腕に私の腕で抱えてた今日の宿題のプリントを取られる。
全教科の宿題を何故か帰りの会で集められたから結構大量になった。
そんな大量のプリントを半分、といいながらほぼ全部を取る。
全部取らなかったのは、全部取ると私が悪いと思い、奪い返すと思ったからなのか。


「ありがと、シンジくん」


顔を見なくても声でわかった。あと、ふんわりと柔軟剤の匂いがした。
このいい香りが大好きで思わず擦り寄りたくなってしまう。

プリントはシンジくんの手にわたり、軽くなった私はそのまま職員室にまた歩をすすめる。
シンジくんも私の横をキープして歩き出す。私の歩幅に合わせて。


「結構重いね…、腕疲れなかった?教室から職員室まで遠いよね。」

「ねー、女子一人に持たせるなって話だよねー。担任が男だから重さとかよくわかんないんだよ。
その点、シンジくんはいい匂いだし、中身イケメンだし、気遣い出来るし、やるときはやる人だし、顔だって美形だし……」

「い、いい匂いって褒め言葉…なのかな?でも、ありが、…と……」

「………」

「………」


目の前に私達の行く道を仁王立ちして邪魔している人がいた。

口をへの字にして、あからさまに「機嫌が悪いですよ」オーラをだしている、
渚カヲル。なんに対して機嫌が悪くなってるのは、私は知っている。


「……名前は僕の事褒めない……」

「開口一番はそっちに文句なのね…。カヲルは可愛いよ」

「それ僕には褒め言葉じゃない……!」


つかつかと不機嫌なままカヲルがこちらにやってくる。
私は、シンジくんを盾にして背中へと隠れる。うん、いい匂い、ずっと嗅いでいたい。


「渚、お前、器小さいな……ていうか苗字も匂いを嗅ぐなよ…!」


シンジくんにとって私から匂いを嗅がれるのは日常茶飯事になってきたのか
軽くあしらわれてしまった…

一番最初はビックリして顔を赤くしてたのに……

……っていっても私はカヲルの匂いも好き。
お日様の匂いと、どこか澄んだような匂い。

カヲルに抱きしめられて眠ったら、きっとすごく幸せになれて、いい夢をみれそうな気がする。

そんな、変な想像をしてしまって、恥ずかしくなり、シンジくんの背中に顔をすりつける。


「シンジくん、どいてよ。名前の顔が見れない」

「渚、お前こそどいてよ。僕らは職員室に行きたいんだ」

「じゃあ、僕が持っていく!名前と一緒に持っていく!」

「駄々っ子め……」


シンジくんのため息が聞こえた、となると諦めてカヲルにプリントを渡そうとしてるのか…?!
そ、それはダメ……!私まだ顔が赤いんだけれど!


「わ…、私、シンジくんとがいいなーって。」

「………」

「………」


沈黙。シンジくんからも少しの動揺が背中ごしに伝わる。
ごめんね、シンジくん。


「……名前ってシンジくんが好きなの?」

「は?」


突然名前を言われたシンジくんは驚いて変な声をあげてた。
違う…、私はシンジくんを友達としては好き。
好きなのは、……でも言えない。


「………」

「……もういい。二人でいけば。」


カヲルが去っていく音がして、しばらくするとシンジくんがそのままの状態で喋りかけてきた。


「あのさ、どっかずれてんだよね、二人とも。だって、苗字って渚の事、好きだろ?」

「……今、シンジくんのこと好きじゃないって言ったらシンジくん傷つける。もちろん、好きだよ、シンジくんは。
でも恋愛でいったらカヲルが一番なの
……ていうか…、今、告白するタイミングじゃないもん…こんな人がいっぱい通る道で邪魔になるし……」

「ありがと。でもさ、告白するタイミング、今じゃないの?渚、すっごい泣きそうな顔してたよ。ここじゃなくて、違うところでさ。泣くくらい好きなんだろ?」


シンジくんが私から少し離れて振り返る。
私の持っているプリントを取ると、もう片方の手でぽん、と私の背中を叩いた。


「ほら、渚おいかけなよ。まだ追いつくよ。プリントは僕が持って行くから。」

「シンジくん……ごめんね。」


背中を押された事によって、なんだか走り出せそうな気がしてきた。
カヲルが私を好いてる事はしっていた。ちょっと意地悪したくてシンジくんとベタベタしたりした。ヤキモチやいて欲しかった。

バカだよね、そんなの傷つけちゃうの知ってたのに。


「………初恋が実らないってホントなんだな。はぁ…、さ、プリント届けて帰ろう」







ちょうど、校門の手前を歩いているカヲルを見つける。
ゆったりと歩いてるせいか、すぐに追いつけた。


「カヲル!」

「……、って、名前、何泣いてんの?シンジくんから泣かされたの?」

「違う!シンジくんはそんなことしない!」

「じゃあ、何なのさ。なんで泣いてんのさ」


何故か私全力で否定してしまった…。
カヲルの顔が驚いた表情からいつものへの字顔になる。


「ひ、人気のないところに連れてって!二人きりで話したい!」


一瞬、間があり、私も思い返してフリーズ。
なんてはしたないこと言ってるんだ!私は!!


「……、ついてきなよ。」


カヲルが先導して歩きだした。
私はそれに黙ってついていく。意外と長く歩いて、気まずいので話すことも出来ず
過ぎていく風景を眺める。


「ついたよ」


一つのマンションの前で足を止める。
あれ、もしかして……


「カヲルの家?」

「そ。どうせ家族はいないから、ゆっくり二人で話せるだろう?」

「そ、そうかもしれないけれど……」


二人っきりの個室、とは予想してなかったので、戸惑いながらエレベーターに乗る。
とある階を押して、エレベーターは動き出し、そしてゆっくりと止まる。

私の心臓はバクバクだ。


「僕の家、入って。」

「おじゃましまーす……」


入ってみるとカヲルの匂いが部屋に充満してた。
部屋の装飾品もソファとテーブルとテレビにその隣に雑誌棚……
そんなに物が溢れかえってはいなかった。


「座りなよ」


いつの間にかソファに座っていたカヲルがポンポン、と隣を叩く。
少し距離をとり、座るとカヲルの視線がこちらを痛いくらい突き刺してきた。

話をしろ、ということらしい。


「まずは先に、さっきは隠れてごめん。あのときはちょっと、……シンジくんに隠れたい気分だったの。」


どんな気分なのさ、というツッコミが入るかと思ったけれど、無言。
話を続けろ、かな?


「さっきシンジくんからきいた。
カヲル泣きそうだったんだってね。それもごめんなさい。私、あなたの気持ち知ってるのに意地悪した。」

「別に泣いてなんかないし。第一泣いてたのは名前の方だろう?」


どこにムキになってるんだ、この子。
とりあえず、本題に入ろう。


「……それは置いといて。私、シンジくん好き。」

「うん。僕も。」

「………、でもカヲルはもっと好き。」

「うん、僕も。」

「…なによ、人が告白してんのに。ただのナルシスト?
何かもっとちゃんとした反応しなさいよ」


ドキドキしてた私がバカじゃない。
すると、今告白されたことを理解したのか目が見開いていく。
遅い!

カヲルは倒れ込んで私のお腹あたりを抱きしめてきた。
せ、積極的……!


「僕、いつも名前に会いにいっても余裕な感じで躱されちゃうし、さっきもシンジくん盾にされちゃうし。
……よかった、僕、二人残したあと、ずっと考えてたんだ。きっと名前はシンジくんの事、好きだし、二人はこの後好きって言い合うんだろうなって思ってたら、
胸の真ン中がぽっかり空いたような感覚になるし、
僕に話があるっていうのもきっとシンジくんとの話だから、あんまり聞きたくなかったんだ……」


だから、ホント、よかった……なんて力なく抱きしめられたら、
カヲルへの愛おしさが更に膨らんだ。


「ね、キス、しよ。ダメ?」


お腹にうずめていた顔を上げたと思ったら
普通に悪戯を思いついたような笑顔だった。
カヲルめ、はかったな。


「ダメ。」

「なんでさ!僕の事、好きなんだろう?もう意地悪しないでよ!」


ぐ、痛いところをつかれてしまった……!
腰のあたりに手をおかれ、じりじりと這い上がってくる。

これは、逃げれないかも、と思って、観念して目を瞑る。
カヲルがどんな顔してキスをするのか気になったけれど、そんなもの見てしまったら
私は今後、ドキドキしすぎてカヲルと目を合わせて話せない気がするし。

ふわっと、お日様と、そして澄んだなにかの匂いがしたと思ったら、
口に何かが当たる。

―キス、しちゃった。

すると突然、カヲルの手が私のスカートを潜り、太ももを撫でる。
思わず、背中が跳ね、唇を離してしまう。


「ふぁっ…?!な、何してんのっ!!」

「あれ?こうしろって加持さんが言ってたけれどなァ?こうすれば女の子は意識せざるをえないって」

「加持さんって誰?!ていうかいたいけな少年に何を教えてるの……っ!」

「僕の生活の面倒見てくれてるヒト。」


なんて事教えてる人なんだ!
その意味さえわかってるかどうかわからないカヲルに……!

ぐるぐると考えていたら、カヲルが口角をあげ不敵に笑っていた。


「……何笑ってんのよ。」

「加持さん、忙しいから帰ってこないんだよね。今日泊まってけば?」


さっきまでの余裕、これからなくしてあげるよ。と耳元で囁かれ、顔に熱が集まるのを感じた。

今日は幸せで、いい夢が見れそうな予感がする。


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キリ番1500 なぎこ様リクエスト
貞カヲ・学パロ・甘夢でした……果たしてこれは甘いのか疑問だし、リクエストにちゃんと添えていない気が…すみません……
なぎこ様、リクエストありがとうございました!
送っていただいたメールも丁寧でお気遣いまで頂き、本当にありがとうございます…!
さらに設定を細かくいただけたのですごく作りやすかったです(笑)




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