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  キリ番46000(ま様)……カヲル/微甘


こんな時間に外出する、なんて今日くらいしか出来ないだろう。
両親にしつこくお願いし、一人で行かなければという条件つきだったのでカヲルくんに事情を説明すると彼は快く受け入れてくれた。

玄関の呼び鈴がなると玄関に待機していた私はすぐにドアを開ける。
目の前には少し驚いたカヲルくんの顔が。


「ま、……待ちきれなくて……。」


私は犬か、なんて自分で心の中でツッコミをいれたが、彼からするとその言葉は嬉しかったらしく目を細めて笑ってくれた。

部屋の奥から気をつけていってらっしゃいと声をかけられ返事をするとカヲルくんもお嬢さんをお借りします。なんて言ってくれた。


「ふふ、カヲルくんからお嬢さんなんて言われちゃった。」

「あの場合、名前さんをお借りします、なんて言ってしまったら慣れ慣れしくなってしまうだろう?」

「苗字さんとかは?」

「そこに居る全員同じ苗字だろう?」


それもそうだ、と納得してしまった。家族全員+カヲルくんで大晦日からの初詣、なんてカヲルくんが可哀想すぎる。いや、カヲルくんなら馴染むのは早そうだけれど。
しかし、外は夜なのに蒸し暑い。セカンドインパクト前は正月は冬というものだったらしい。
夜に出かけると日も落ちて寒くなり、外に出れば息も白くなるなんて聞いたことがあるけれど、この目で見たこともなかったのでにわかには信じ難かった。


「ねえ、カヲルくんって15歳だったよね?カヲルくんは冬を体験したことがある?」

「ないよ。僕は、セカンドインパクトがあったその日に生まれたからね。」

「そっかぁ。冬ってどんなのなんだろうね。私氷点下の部屋っていうやつに入った事あるんだけれど、すっごく寒かったんだよね。でもさ、冬ってそれがずっと続くんでしょ?セカンドインパクト前の人達はどうやって過ごしてたんだろうね!」


きっと寒さに凍えて、隣の人とかにくっついていたんだろうな。なんて隣にいる彼で想像をしてみた。
うん、いいな。夏じゃなきゃやっていたかもしれない。
この温度じゃ手も汗ばむし、なにより自分の匂いが気になるからあまりくっつけないんだ。


「布団とか、気持ちよさそうだよね。」

「布団!?」

「あ、いや、変な事を言ったつもりではないんだけれど、温かい布団で暖を取りながら寝たらきっと気持ちがいいんだろうなってさ。」

「ま、まさかカヲルくんの口から一番に布団が出るとは思わなかったから思わず声が裏返っちゃったよ。そっかー……、確かに布団気持ちよさそうだね。クーラーとかで寒い時に布団に入ってぬくぬくするの好きだもん。」

「そうそう、そんな感じ。」


じゃあ、寒いから、と一緒に眠るのもありなんだな。なんだ、冬っていいことばっかりなんだなぁ。
またしても隣にいる人で一緒に眠る想像をして、流石にそれは恥ずかしくなりブンブンと頭を振ってその想像を打ち消す。

カヲルくんが不思議そうにこちらを見てきたのでなんでもないと返す。
携帯を開き時間を見ると23:45の時間を表示していた。


「この時間だとついてからちょっと話したくらいで日があけそうだね。0時にアラームセットしておこう。」

「今年は名前と過ごせてよかったよ。」

「……うん、私も。」


カヲルくんから31日から神社に向かい0時に一緒に年越えをしようと言ってくれたから喜んでと返事をした。
家族の人と過ごさなくていいの?と聞いてみたところ
「名前と一緒に過ごす始まりもいいなと思ってさ。」
なんて言われたら何も言えなくなった。


「ついた!人はそんなに多くないね。」

「そうだね。皆やはり年があけてから来るんだろうね。」


カヲルくんは腕時計を見ると私にもその時間をみせてくれた。
ぐっと身体が近くなり少し恥ずかしくなる。


「ほら、あと2分。僕年越しの時に少しやりたいことがあるんだ。」

「やりたいこと?」


年越しの時、といえばそばを食べるとか紅白を見たいとかそういったことだろうけれど、今は外だし、食べる場所もなさそうだった。
彼の方を見ていても内緒なのかニコニコと笑うだけで教えてくれなさそうだし……。


「僕の顔を見ながら一年の始まりを迎えるかい?」

「!ご、ごめん!見すぎてたね!」


顔に熱が集まり下を向くと彼の腕時計が目に入る。
デジタルで表示された腕時計は23時59分40秒とカウントダウンをするにはちょうどいいくらいの時間だ。

心の中でカウントダウンをしているとカヲルくんが五秒前の時に小さく「5」とつぶやいたので4の数字をつぶやいた時に私も同じ数字を小さくつぶやいて重ねる。

彼を見るとばっちりと目があう。

3、まるでお互いしか見えないかのように。

2、彼が少しだけ照れくさそうに笑う。

1、私もつられて笑ってしまう。

0、その瞬間に私の足は空中を蹴っていた。


突然、脇に手を差し込まれ持ち上げられたあとグルリと一周回った。
私は何も言えず、びっくりしたままパチパチと瞬きをし、回した張本人は悪戯が成功した子供のように楽しそうにクスクスと笑っている。


「ふふ、名前は年越しの時に地球にいなかったよ?」

「び!びっくりしたあ!」


まさか彼がやりたいことと言っていたのはこの事だったの?もー……。
心臓が跳ね回っていたけれど、ようやく落ち着き、ポケットで鳴り続けていたアラームを止めると彼がお参りしに行こうかと言ってきた。


「いたずらっ子め!」

「あはは、ごめんごめん。」

「でも……、せっかくなら一緒が良かったな。」

「……え?」

「……来年は一緒に、同じことしようね?」

「……ふふ、うん。来年も一緒にここにきて、今度は同じことをしようね。」


そういって彼は私の頭にポンと手を置いた。



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キリ番46000 ま様リクエスト
年越しのカヲル夢でした!お正月ネタ二連発!
微甘?甘?糖度は低めではあるけれど…(笑)

年越しと言えば管理人はダウンタウンの笑ってはいけないを見て、
見終わったら初詣にいきますね。皆さんは紅白派ですか?

ま様、リクエストありがとうございました!
神社での年越しという管理人がしたことのないことだったので
どんなシチュエーションにしようかとワクワクしながら書かせていただきました(笑)
また今年もよろしくお願いします。


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